アメリカ進出の日系企業の最新トレンド
日本から企業がアメリカを含めた世界へ進出するという現象は、いまに始まったことではありませんが、近年そのスピードは速まってきているように思います。日本国内の市場と世界市場を比べた場合、比較にならないほど世界の市場は大きいため、今後も日本企業の海外進出は加速してくると予想されます。そこで今回は、アメリカへの進出を考えている日系企業の最近の動向について、日本でもHR関連のセミナーを開催されていらっしゃるPacific Dreams, Inc.の代表、酒井兼吉氏にお話を伺ってみました。
Q.アメリカ進出についての日本の企業の関心は最近ではどのようなものでしょうか?
アメリカは、日本と比べて約3倍の人口を有する大国であり先進国ですので、当然マーケットの規模は非常に大きいわけです。今後の移民政策によりますが、世界中から人々が集まる国ですので、今後も日本のような人口の減少はなく、毎年ほぼ確実に人口は増えつつあります。しかも日本よりも国民の平均年齢は若く、ダイナミックな活力を持ち続けます。日本企業は当然そういった日本ではすでに失われつつある人口の増加や市場規模を求めてアメリカ市場への参入を目指すのではないでしょうか。そして技術革新の世界のリード役を務めているのもアメリカであるという認識に異論を挟む余地は少ないでしょうから、技術面での切磋琢磨をしていく上でもアメリカの市場は魅力的に映るのではないかと思います。
Q.アメリカに進出を検討されていらっしゃる企業さんは、どのような業種が多いのでしょうか?
かつては商社や金融業、そして製造業が中心であったと察しますが、いまや日本のさまざまなサービス業に位置する企業がアメリカに進出され、またその進出のご検討をなさっています。サービス業も日本食レストランを中心とした飲食業のみならず、アパレルなどの小売業や美容業なども活発に進出されています。
Q.アメリカに進出を検討されている企業さんに何か特徴はありますか? また、米国のどの地域(西海岸、東海岸、中西部、南部)に進出は伸びていますか?
人口の多いアメリカの大都市圏で特に日本とのアクセスのよい地域が今後とも有望ではないかと思います。NYやLAに進出されて成功を収めることができれば、それは日本の本社や他の海外拠点への波及力にも弾みがつき、企業イメージやブランドにもプラスの効果が期待できます。逆に製造業では賃金が安く、労組加入率の低い南部地域への進出が今後とも期待できると思います。特に自動車関係の製造業にはその傾向が強いと考えてよいでしょう。
Q.日本でのセミナーではどのようなことをお話しされますか?
アメリカの法律、そして法律ではないけれどもアメリカの職場で常識的に行われている雇用慣習であるとか、人的管理手法などが主なテーマです。法律は雇用法が中心になりますが、主要な移民法やビジネス法の分野もときにはカバーしています。またアメリカの場合、法律といっても大きく連邦法と州法とに分けることができ、特に各州ごとに違いのある州法を知ることは非常に重要であると考えています。
Q.アメリカ進出を検討されている企業の関心が高いテーマは何でしょうか?
アメリカの主要な(連邦上における)雇用法、移民法は、関心の高いテーマだと申し上げられます。そして日本の労基法にあたるFLSA(Fair Labor Standards Act: 連邦公正労働基準法)が主に規定している従業員への賃金支払いのルールも当然ながら関心の集まる分野になります。さらに日本からアメリカの現地法人に出向される日本人駐在員向けの「赴任前研修セミナー」も常にそのあることが確認されておりまして、企業様側からは高い評価と支持とをいただいております。
Q.日本のセミナーの参加者の皆さんから受ける質問の中で多い質問はなんですか?
日本にはまだない Exempt 従業員と Non-Exempt 従業員の識別の仕方は常にお受けするご質問です。日本では労働裁量性というような言い方がなされているようですが、アメリカでは細かいルールも数多く設けられていて、一筋縄ではいかない場面も多々出てまいります。もうひとつは、”Employment At-will” についての解釈です。これはもともと日本にはない企業と従業員との間の雇用関係で、アメリカ独特の雇用概念でもありますので、やはり皆さんからのご質問を受けるアイテムになっています。
Q.人事制度で、日系企業がアメリカに進出される際に特に気をつけておくとよいことは何でしょうか?
採用面接のときに尋ねてはならない質問が数多くあり、それらの質問を間違ってもし尋ねたとしたらは法律違反になり、アメリカでは応募者から訴訟を起こされることさえありえます。それらの質問のほとんどは日本ではごく普通に採用面接で尋ねている質問だと思われますので、ついうっかり日本にいるときの感覚で発した質問が大変な事態を引き起こしかねないリスクを包含しているということをまずは認識すべきです。
Q.酒井さんは実際に日本からアメリカに進出してこられた企業さんに対してHRコンサルティングを提供していらっしゃいますが、企業さんの中で成功された例を一つ教えてください。
アメリカには数多くの雇用法があり、それらは日本と比べてみても従業員寄りに立った企業側には大変厳しい法律ではないかと思います。それでも法律では決められていない部分が実際の職場運営の中では数多く残っていますので、その部分は法律ではなく、会社のポリシーで規定していくことになります。これらの規定をしっかりと作りこんで、従業員ハンドブックに書き込み、ことあるごとにそれらハンドブックに書かれてあるポリシーを日常的に浸透させ、現実的に運用されている、全米でお店を展開なされ繁盛している日本の小売業者さんがあります。
Q.逆に失敗例を教えてください。
アメリカに進出して失敗する日系企業は残念ながら枚挙に暇がありません。典型的であるのは、お客様や市場がアメリカにあるにもかかわらず、経営陣は日本の本社の方ばかりを見続けていて、日本の本社が東京都港区にあるのであれば、アメリカの現地法人は東京都ニューヨー区という感覚で経営されているような企業です。アメリカに現地法人を作った以上は経営上さまざまな場面で現地化していく努力を続けていかなければ、いずれ行き詰ってしまい、早晩オフィスをたたまなければならないことになりかねません。
Q.次回の日本でのセミナーのご予定について教えてください。
今年7月後半から以下の予定で東京・四ツ谷でセミナーを開催いたします。
7月25日(水)13:00 - 17:00 英文契約書の構成と英米法の理解
7月26日(木)13:00 - 17:00 英文メールの書き方ノウハウと最新ビジネス英語
7月27日(金) 9:30 - 12:30 米国赴任前研修セミナー: コミュニケーション編
7月27日(金)13:30 - 17:30 米国赴任前研修セミナー: マネジメント編
8月 3日(金) 9:30 - 12:30 米国の適正な賃金支払いと勤怠管理の要諦
8月 3日(金)13:30 - 17:30 米国における主要な雇用法と移民法アップデート
ウェブサイト:http://pacificdreams.org/extension
セミナー会場: ビジネスセンター四ツ谷貸し会議室
JR中央線・総武線・丸の内線・南北線四ッ谷駅徒歩1分
160-0023 東京都新宿区四ツ谷 1-8-14 四ツ谷一丁目ビル 6階
定員: 各セミナーとも先着10名様
【詳細・お申込みは下記ウェブサイトよりお願いいたします】
http://pacificdreams.org/extension
(回答者)
Pacific Dreams, Inc.
President& CEO 酒井 謙吉
www.pacificdreams.org
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