ニューヨーク市では採用時に過去の給料について尋ねることが禁止されます。

 

2017年5月4日、ビル・デブラシオニューヨーク市長は、採用時に雇用主が求職者に対して過去の給料を尋ねることを禁ずるという法令を承認しました。これによりニューヨーク市では今後、雇用者は求職者の現在および過去の給料を尋ねることができなくなります。今後は「前職での給料は?」「How much did you make in your last job?」など過去の給料を尋ねる質問は一切できなくなります。

 

この法案が生まれた背景には、女性の平均賃金が男性に比べて約20%低いことや、同じ仕事をする白人の男性と比べて、ヒスパニックやアジア系等のマイノリティーや女性が低い賃金しか得られていないということが問題視されているということがありました。法案はこうした賃金格差を廃絶することが目的でした。

 

慣行として、雇用主は過去の給料によって採用後の給料を決定するという傾向があります。そのため、低水準の給料の人はその金額に基づく給料額が新たな賃金として決められるという結果となり、低い賃金をもらっていた人の給料は改善されず、賃金の格差もそのままになるという結果となっていました。

 

今後はニューヨーク市内のすべての公的機関、企業でこのルールが適用されます。公平な採用では給料は仕事の内容に応じて決定されるべきもので、平等な環境をつくり出すことに役立つであろうと言われています。

 

今後は、採用の募集を募る際のオンラインなどの応募フォームには過去の給料を尋ねる項目を入れてはいけません。また、面接時に現在または過去の給料額についても直接または間接的に尋ねてはいけません。

 

法案に対して各地の商工会議所が一般企業への負担が大きいとして、この動きを止める申し立てを提出するなどの動きも見られますが、マサチューセッツ州、フィラデルフィア市ではすでに発効されており、検討中の州はカリフォルニア州、ジョージア州など20州以上あり全米に広がる様相を見せています。