【アメリカの人事部】会社のパーパス経営と行動への導き

 
会社のパーパス経営と行動への導き

 

【アメリカの人事部】会社のパーパス経営と行動への導き

 

前回は、新年の記事ということでもあり、今年の「HRが果たすべきパーパス」というテーマで書かせていただきました。書きたいテーマがなかなか見つからなかった今回もまたこの「パーパス」について違った角度から深掘りしてみたいと思います。(ここのところ、なぜかパーパスという言葉に腹落ちする自分がおりまして、ひとつまた今回もお付き合いいただけましたら、有り難いです)

 

古くは、会社では「社是」と呼ばれていて、毎日の朝礼で社員全員で唱和するという職場も多かったように思われます。その後、企業理念であるとか、行動規範とか、ミッション、バリュー、ビジョン、プリンシプル、スローガン、モットーというふうに呼び方はいろいろと変わってまいりました。皆様の会社では何と呼ばれているのか、興味の沸くところでもあります。そんな中でも最近ではパーパス経営という言い方がもてはやされていて、会社を始めた当時創業者は単にお金儲けをするためだけに事業を始めるということでは決してなかっただろうと想像します。もちろん、お金を稼げなければ、会社を存続させていくことが出来ないわけですが、お金を稼ぐこと以外に会社が社会や人々に貢献すべき事業対象があり、そこに経営資源や人的資本を投入していくことがとりもなおさず、パーパス経営であったのではないかと申し上げられます。

 

呼び方としては、理念でもバリューでもパーパスでも、いずれでも構わないのですが、要はそれらが単なる紙切れに書かれたお題目などではなく、毎日の職場で仕事をしていく中で、それらが働く者の血となり肉となって、会社の本来あるべきパーパスを達成していく上で正しい行動がとれるガイドラインとなっているのかどうかではないでしょうか。そういう意味では、書かれたものがあまりにも広範囲過ぎていて、漠然としたもの、あるいは抽象的でどうとでも解釈できるものであったら、果たして仕事の正しい行動に使えるガイドラインとしての役目を担ってくれるものでしょうか。いやいや本来、会社の理念は高潔なものでなければならないのだから、少々抽象的で理解に難を要する概念を使った方が望ましいのだと、ご回答なされる向きがきっとおありであるかもしれません。

 

よく好んで使われている言葉の中には、「誠実、信頼、共生、協調」などが見かけられます。特に日本企業の中では好感が持たれているようなのですが、アメリカ企業では共生や協調の代わりに「尊重」や「透明性」というのが最近では幅を利かせているように感じられます。いずれにしても、みな響きの良い抽象的概念で、誤って真逆の解釈をするようなことはまずありません。ですが、会社のパーパス経営を追求していく中では、ときに行動の選択が一筋縄ではいかない場合が現実的に出てまいります。二者択一でどちらの行動を取ったらよいのか、難しい局面はどなたでも職場でご経験があることでしょう。そんな状況下で会社のそれら心地よい言葉が、果たして正しい行動の選択を導いてくれるものになっているのでしょうか。

 

ウォールマートを抜いてアメリカ最大の小売企業に返り咲いたアマゾンには、リーダーシップ・プリンシプルと呼ばれている一連のモットーの中に、とりわけ有名な次のような一節があります。” Have Backbone, Disagree and Commit” (気概を持て、異議を唱え、コミットせよ)そう、このモットーには抽象的な概念は感じられず、行動に移すことを促してくれています。例えば、新製品開発工程の中で、上司は製品機能だけで新製品を開発しようとしているとします。ところが代わり映えのない似たような機能がいくつも引っ付いているよりは、流麗なデザイン性で選ぶべきだと自分は考えているとしたら、どうでしょうか。一番目の選択肢として、「自分の意見を述べ、上司を説得しようと試みる」のか、二番目の選択肢として「いや、上司との人間関係や評価を悪くしたくないので、自分は黙っていて上司の選択を尊重する」のか。アマゾンのプリンシプルに従えば、自ずと最初の選択肢を選ぶ方に決まってまいります。

 

職場の日常で、このような二者択一の場面に遭遇した時に、明確な方向性を与えてくれることによって、会社が持つパーパス経営において正しい選択肢が導き出せることになります。それを誠実や尊重といった概念的な言葉からではそうはいかなかったではなかろうかということになります。抽象的な概念をいくらちりばめてみても、あるべき行動にはなかなか結び付かないということがお分かりいただけかと存じます。皆さんの会社のモットーやパーパスがお題目や念仏を唱えるようになっていないかどうか、今一度検証してみていただくことをお薦めいたします。それらから正しい行動が促せられているのか、そして会社で働く従業員の誰しもが難しい局面であっても望ましい行動の選択が取れるのかどうか、そこがまさに肝心要(かなめ)の拠り所となるのではないかと思います。

 

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  【執筆】

    

 

Pacific Dreams, Inc.

President & CEO

酒井謙吉 Ken Sakai

8532 SW St Helens Dr. Wilsonville, OR 97070

www.pacificdreams.org

Email : kenfsakai@pacificdreams.org

Phone: 503-783-1390  

 

【プロフィール】

信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。

   

 


 

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