【アメリカの人事部】「米国雇用情勢レポート(10月)」

 

 

【アメリカの人事部】米国雇用情勢レポート(10月)

 

<今後の利下ペースを占う雇用情勢>

FRBは9月のFOMCにおいて2年半ぶりに金融政策の方向性を転換し、利下げを開始した。本会合におけるFOMC参加者の経済見通しでは、2024年中に更に2回、2025年中に4回、2026年中に2回の利下げが示唆されている。市場では、更に早いペースでの利下げを織り込む向きが強いが、実際にどの程度のペースで利下げを行っていくのかは、短期的には雇用情勢の減速ペース次第となりそうだ。

 

<雇用統計の評価>

雇用情勢を見る上で最も注目される、米労働省発表の雇用統計(9月)では、市場予想を大きく上回る形で足元の雇用情勢が改善していることが示唆された。失業率は4.1%(前月差マイナス0.17ポイント)に低下し、非自発的にパートタイムを選択している者などを加えた広義の失業率も9月は7.7%と前月(7.9%)から低下した。非農業部門新規雇用者数(25万4000人)は、ヘルスケアなどの教育・医療(8万1,000人増)、外食サービスなどの娯楽・接客業(7万8,000人増)のほか、利下げ期待を受けた建設業(2万5000人増)、会計年度末を受けた対事業所サービス(1万7000人増)を中心に幅広い業種で雇用の増加が見られ、本年3月以来の高い伸びとなった。また、賃金についても伸びが加速した。一人あたり平均時給は35.4ドル(前月35.2ドル)で、前月比0.4%増、前年同月比4.0%増といずれも市場予想を上回る伸びとなった。このように総じて過去数か月間で懸念されていた労働市場の大幅な減速懸念を払拭する内容だったといえる。

 

<その他の雇用関連指標の動向>

その他の指標でも、このところの指標は労働市場の足元の改善を示す数値が並ぶ。雇用動態調査(JOLT)では、8月は上述の雇用統計で増加した業種を中心に804万人と求人数が増加したほか、レイオフ数も160.8万人と前月(171.3万人)よりも減少している。また、こうした情勢を受けて、失業保険給付者数も、9月末時点で新たに給付対象となる者(4週間平均)は22.4万人/週(前月23万人)に減少した。

 

<労働市場に残る懸念事項>

ただし、なおいくつかの懸念点も残っている。一つは、被雇用者のマインドだ。米民間調査機関コンファレンスボードが発表している9月の消費者信頼感指数では、現在及び6か月先の雇用についてより悲観的な見方を示す者が増加している。前述のJOLTで発表されている離職率は1.9%(前月2.0%)と2020年6月の新型コロナ期間中と同レベルにまで低下しているが、こうした労働市場における信頼感の低下(将来的な仕事の見つけにくさ)が寄与している可能性がある。こうした雇用の流動性の低下は今後、若年者等の雇用にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。

もう一つは、倒産件数の増加だ。S&Pグローバルが発表している倒産件数をみると、本年1月~8月までの倒産件数は452件となっており、コロナ前の水準(2015年~19年の平均は367件)を大きく上回っている。主に消費財を扱う社や産業系の財を取り扱う社の倒産が増加しているが、これは中・低所得者層消費の減少、大統領選を忌避した設備投資控えが関係していると考えられる。レイオフの水準はなお増加していないものの、こうした倒産件数が増加すれば失業者の増加につながるため、注意が必要だ。

 

<まとめ及び今後の注目点>

9月~10月上旬にかけて発表された指標をみると、労働市場の大幅な減速懸念を払拭するものが多かったと評価できる。特に雇用統計の良好な数値はFRBに利下げを急ぐ必要はないというシグナルを与えた可能性が高い。次回(11月)のFOMCまでには更に1回雇用統計の発表が予定されているが、雇用市場の堅調さが維持されるかどうかは注目だ。また、10月末から11月頭にかけて第3四半期決算の公表を予定している企業も多く、こうした企業の今後の雇用計画も注目点となりそうだ。

 

 


 

 【執筆】

 

                     

JETRO NY

ニューヨーク事務所

調査担当ディレクター

加藤 翔一 (shoichi Kato)

 

「プロフィール」

東北大学公共政策大学院卒。2009年、内閣府入府。

内閣府では、マクロ経済分野や地方活性化分野を中心に政策立案に携わる。マクロ経済分野では、欧州政府債務危機時に欧州経済及び世界経済の動向分析を担当したほか、一億総活躍社会の実現に向けた中長期の経済・財政の在り方のプランニング等を担当。地方活性化分野では、岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」の立ち上げやフレームワーク設計などを担当。

2023年7月よりJETROニューヨーク事務所に出向。出国のマクロ経済、財政政策を中心に、調査・情報発信を行っている。

 


 

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