【アメリカの人事部】競業他社への転職や競業企業設立を制限する「競業避止義務」を違反とする新ルール

 

 【アメリカの人事部】競業他社への転職や競業企業設立を制限する「競業避止義務」を違反とする新ルール

 

※2024年10月21日更新 

 

2024年4月23日、米連邦取引委員会(FTC)は全米で、企業が従業員に対して競業他社への転職や競業企業の設立を制限する「競業避止義務」を違法とする新ルールを決めました。

 

米連邦取引委員会(FTC)は、米国の労働者の約5人に1人に当たる約3,000万人が「競業避止義務」により転職を妨げられており「競業避止義務」を禁止することで、労働者の基本的な転職の自由を保護し、イノベーションを促進させ、新たな事業形成を促進すると述べています。また、「競業避止義務」は賃金を低く抑え、新しいアイデアを抑圧させる要因ともなり、禁止されれば、年間8,500社を超える新たなスタートアップ企業を創出させるであろうと予測しています。

 

新しいルールでは、大多数の労働者に対して、ルールの発行日以降は競業他社への転職や競業企業設立の禁止を強制することができなくなります。また、企業と従業員の労働契約に「競業避止義務」を盛り込むことが原則禁止となります。ただし、すでに雇用されている上級幹部や非営利団体などの一部の業界に対する競業禁止は引き続き有効となります。雇用主は、すでに雇用されている上級幹部以外の労働者に対して「競業避止義務」を強制しないという通知を行うことも義務付けられています。

 

米連邦取引委員会(FTC)は、競業避止を強制することなく企業を守るには、営業秘密法と秘密保持契約(NDA)という有効手段があると述べています。また、従業員を維持したい雇用主は、「競業避止義務」を利用して労働者を囲い込むのではなく、賃金や労働条件を改善することで競争力を高めることができるとも提案しています。

 

一方4月24日、米国商工会議所は「競業避止義務」を違法とする米連邦取引委員会(FTC)の新たな決定に異議を唱え、米連邦取引委員会(FTC)を提訴しました。FTCに対する訴訟は、米国商工会議所、米国の主要企業が名を連ねる財界ロビー団体であるビジネス・ラウンドテーブル、テキサス商工会、ロングビュー商工会議所等によってテキサス州東部地区連邦地方裁判所に起こされています。「競業避止義務」を違反とする新ルールは今年の8月に施行される予定でしたが、法的異議申し立てにより、最終的な結果がどうあれ、その施行が遅れることはほぼ確実となっています。今後の成り行きを見守り、変化があればニュースとしてお伝えしていきたいと思います。

 

参考
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/04/ftc-announces-rule-banning-noncompetes
https://www.shrm.org/topics-tools/employment-law-compliance/us-chamber-commerce-sues-block-ftc-ban-noncompetes

  

 

【追記】7/22/2024

米国商工会議所の訴えに対し、裁判所は訴訟が解決するまで同規則に従う必要はないという裁定を2024年7月3日に下しました。雇用主は、米連邦取引委員会(FTC)の規則に対する判決が出されるまで裁判の経過に注意しつつ現状を維持することが勧められています。法律専門家は、連邦地裁の判決は結果にかかわらず上訴され、この問題は最終的には連邦最高裁判所に持ち込まれる可能性が高いと見ています。

 

参考
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/04/ftc-announces-rule-banning-noncompetes
https://www.shrm.org/topics-tools/employment-law-compliance/us-chamber-commerce-sues-block-ftc-ban-noncompetes

 

https://www.shrm.org/topics-tools/employment-law-compliance/court-blocks-effective-date-ftc-noncompete-rule?utm_source=marketo&utm_medium=email&utm_campaign=editorial~HR-Week~NL_2024-07-15_HR-Week&linktext=Court-Blocks-Effective-Date-of-FTCs-Noncompete-Rule-for-Plaintiffs-Only&mktoid=28257600&mkt_tok=ODIzLVRXUy05ODQAAAGUU5V9zE1VUns9iuw9N_3RZqmT31kA8nWpqd824WPt0tPpphgkX_1E2eUGHZNdm2Wn2eZ_A8yJkG_3TlHRs7HEkLWmjT-AsR0vqiqZabDJctTe95i8A8yoVGOFY00

 

【追記】8/16/2024

米国連邦取引委員会(FTC)は、雇用契約における大多数の新たな競業避止条項を禁止する最終規則案を承認しました。この規則は数百万の労働者に影響を与える大規模なものであり、既存の競業避止契約も無効とされますが、年間収入が151,164ドル以上で「企業のポリシー決定に関与する地位にある」上級幹部に関するものは例外です。また、雇用主には現在および過去の従業員に対し、競業避止条項が無効になったことを通知する義務が課されます。

連邦取引委員会(FTC)の最終規則に対して訴訟を提起した組織は、訴訟が解決されるまでこの規則に従う必要がないと、2024年7月3日に連邦判事が裁定しました。テキサス州北部地区連邦地方裁判所は仮差止命令を認め、ライアンLLC、米国商工会議所、ビジネス・ラウンドテーブル、テキサス州ビジネス協会、ロングビュー商工会議所の原告に対して規則の施行を延期しました。しかし、これらの団体に所属しない企業は、2024年9月4日に規則が発効した際、FTCの新たな競業避止条項規則に従わなければならなくなります。裁判所は規則の合法性について、8月30日までに判断を下す予定です。

 

【追記】8/21/2024

2024年8月20日、テキサス北部地区連邦地方裁判所は、連邦取引委員会(FTC)が提案した競業避止義務契約の禁止を無効としました。これにより2024年9月4日に予定されていた競業避止条項を禁止する最終規則の施行も行われなくなりました。
 
判事アダ・E・ブラウンは、FTCは競業避止条項規則を法的権限を超えて制定し、さらにその規則が恣意的かつ独断的であるとし、また、特定の有害な競業避止義務を対象とするのではなく、なぜこのような包括的な禁止を課すことにしたのか、その理由を示す証拠を欠いているため、FTCの規則を違法とし、これを無効にすると結論づけました。
 
この判決は、原告に対してだけでなく、全国的にすべての企業に対してこの競業避止条項規則の執行を阻止するものとなっています。
 
 FTCのスポークスパーソンであるビクトリア・グラハム氏は、この判決に失望しており、「上訴を真剣に検討している」と述べています。
 
 

【追記】10/21/2024

米連邦取引委員会(FTC)は2024年10月18日、競業避止義務に関する米連邦取引委員会(FTC)の規則を無効とした8月20日のテキサス州北部地区連邦地方裁判所の判決を不服として、第5巡回区連邦控訴裁判所に控訴を申し立てました。規則は第5巡回区で審理されることになりますが、規則の反対派にとっては有利な会場と見なされています。専門家はこの問題は最終的に米国最高裁判所に持ち込まれる可能性が高いとみています。

 

 

 

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