【アメリカの人事部】2024年HRのトレンド

 


 

【アメリカの人事部】2024年HRのトレンド

 

HRのトレンドをチェックしてみよう。

恐らく、Return to Office (あるいはHybrid WorkやRemote Work),

タレントマネジメント(採用、開発、維持)、DEI、AIの台頭、スキルベースの採用等世間を賑わすトレンドが思い浮かぶのではないだろうか?

そのようなトレンドの動向は下記のようなHR記事に譲ることにしよう。

 

▼HR DIVE: 5 trends that will shape HR in 2024

https://www.hrdive.com/news/hr-trends-2024/703938/

▼Gartner: Top 5 HR Trends and Priorities for 2024

https://www.gartner.com/en/human-resources/trends/top-priorities-for-hr-leaders

▼HBS:10 Trends to Watch in 2024

https://hbswk.hbs.edu/item/10-trends-to-watch-in-2024

 

日頃クライアントさんから多くの質問を受けていると日系企業の2024年トレンドは別の視点で語れるのではないだろうか?

 

1. 基本に戻る:言葉の定義

クライアントからの質問を通じて、基本的な問題に立ち返ることの重要性が感じられる。特に、言葉の定義は重要である。

例えば「この従業員は正社員なんです」という発言があった。しかし、「正社員」とはどういう意味で使っているのだろうか?

Full-Time Employeeのことを指しているのだろうか?

それともExempt Employeeのことを指しているのだろうか?

あるいは、Nonexemptでも毎月固定で給与が支払われている従業員のことを指しているのだろうか?

 

また先日、ある質問があった。「時給で雇うのでW-4(給与税の計算を決定するために必要な書類)は必要ないですね?」というものだ。時給で雇うということはお給料が払われるので、それであればW-4は必要だと思う。お給料が払われたら給与税が発生するからだ。しかし、「いいえ。お給料は払いません」という返答があった。時給で雇うのにお給料は支払わないのだろうか?と質問すると、「はい。お給料というのは月給のことですよね?時給なので月給ではありません」という返答があった。

 

そこで初めて、「給料」という言葉がこの方にとっては月額固定の報酬を意味していると理解した。それであれば、「賃金」と言えばいいのではないだろうか?と思い、賃金を支払う場合には賃金に税金がかかるのでW-4が必要だと伝えた。しかし、「え?!賃金を払うのにもW-4は必要なんですか!」という驚きの声があった。

 

続けて、時給で支払う場合にはNotice to Employeeが必要だと伝えた(カリフォルニア州のLabor Code 2810.5)。すると、「この方はまだ正社員ではないのですが、Notice to Employeeが必要なのでしょうか?なぜ正社員でないのにEmployeeと呼ぶのでしょうか?」という質問をされてしまった。

 

私は、時給の場合はNonexemptなのでNotice to Employeeが必要だと伝えた。しかも、週40時間働くFull Time Employeeだと思うが、どうだろうか?と更に質問した。すると、「いいえ。週40時間勤務しますが、パートです。正社員ではないので」という返答があった。週40時間勤務をしたらFull-Time Employeeという定義になると伝えたが、「いいえ。私の定義では正社員ではないので、週40時間働いてもパートです」と言われた。

 

週40時間勤務してもパートタイムという発想にとても驚きを感じた事例である。

 

このような事例から、言葉の定義が合意できていないと会話がかみ合わなくなることがよく分かる。

日本の言葉の定義をベースに議論をしている場合は、もう一度、HR用語の定義を確認してみることが重要だと思う。アメリカでは自動車は右側通行と分かっていながら、自分は日本と同じ左側通行で自動車を運転しているということはないだろうか?

 

2. 報酬

ある日系企業の報酬調査のサーベイを確認していると米系の企業の同じポジションと日系企業の同じポジション(例えばAdministration Manager)を比較すると米系企業を100とすると日系企業は75が平均的報酬水準であった。

ある方は、日系と米系では市場が違うため、日系企業の市場に合わせるべきだと言う。ある方は、米国でよい人材を採用しようと思うなら米系の市場に合わせるべきだと主張する。

特に日本から進出される企業は日本本社からの承認、円安による米国報酬の更なる上昇、等米国での報酬を上げることに大きな障害があるように思われる。人材を採用する上で、日系市場の報酬レベルで採用をするのか?あるいは米系市場の報酬レベルで採用をするのか?その方向性が一層問われる年となると思われる。

 

3. HRは何のために 

恐らくアメリカでは訴訟がとても多いために、HRのコンプライアンスが注目されることになる。弊社にも質問したい時だけスポットで質問したいというご要望も多い。

一方で、HRとは御社の理念、ビジョン、行動原則(フィロソフィ)を実践するための車軸のようなものである。エンジンの動力を車軸を通じて地面に伝えるように、HRは経営の方向を伝えて、実践するために欠かせないものである。

2024年は時々スポットで考えていたHRという役割を日常にする年でもあるのではないだろうか。

 

 

この記事に関してご質問は、Philosophy LLC まで、お気軽にお問い合わせください。


 
【執筆】
 
 
Philosophy LLC
President
山口 憲和   (Norikazu Yamaguchi)
Email:yamaguchi@yourphilosophy.net  
 
 
【プロフィール】
MBA, SHRM-SCP
CA Insurance License: 0F78137
日本キャッシュフローコーチ協会認定コーチ 会員番号463
 
 
群馬県高崎市出身
2000年より米国型人事コンサルティングを行う。
2004年からロサンゼルスに拠点を移し、日系企業を中心に500社以上のコンサルティングを経験。米国人事に欠かせない保険のライセンスも取得し米国人事のサポートを行っている。
また、米国人事プロフェッショナルとしての資格 SHRM-SCP=SHRM(Society for Human Resource Management=米国人材マネジメント協会)Senior Certified Professionalを取得。  
 
 
(学歴 )
群馬県立高崎高等学校卒業
東京外国語大学 外国語学部 
中国語学科卒業 中国 復旦大学 国際文化交流学院修了
慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 修士課程修了(MBA)  
 
 
(職歴)
全日本空輸株式会社(ANA)、Mercer Human Resource Consulting等を経て現職  
 
 
(共著書)
A&R優秀人材の囲い込み戦略A&R優秀人材の囲い込み戦略  
 
 
 
【会社情報】
Philosophy LLC
Philosophy Insurance Services
所在地:609 Deep Valley Drive, WEST TOWER Suite 358
Rolling Hills Estates, CA 90274  
URL:philosophyllc.com/
TEL  310-465-9173  
 
 
【事業内容】
日系企業向け人事コンサルティング・保険代理店業務  
 
 
免責事項:山口憲和は、この記事の中で正確で常識的、倫理的な人事管理、雇用者、職場、保険情報等を提供するために万全を期していますが、山口憲和は弁護士ではなく、この記事の内容は 法的助言として解釈できません。 不確かな場合は、常に弁護士に相談してください。 この電子記事上の情報は、ガイダンスのためだけに提供されており、決して法的助言として提供されるものではありません。この情報を利用して損害が生じた場合でも弊社では責任を負いかねますのでご了承下さい。  
 
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