【アメリカの人事部】テレワーク・リモートワーク時における企業の留意点

 

 

【アメリカの人事部】テレワーク・リモートワーク時における企業の留意点

 

コロナ禍で急速に進んだテレワークの導入に伴い、社内規定を変更された企業様も多かったのではないでしょうか。

今回は2023年2月にDepartment of Labor(以下、DOL)より発表されたField Assistance Bulletin (以下、FAB) No.2023-1「Telework Under the Fair Labor Standards Act(以下、FLSA) and Family and Medical Leave Act(以下、FMLA)」について簡単に解説したいと思います。このFABでは、(1)授乳とテレワーク、(2)リモートワーカーとのFMLAの資格要件の適用について、それぞれ取り上げています。

 

(1)テレワークと授乳

FLSAの適用を受ける雇用主(ほぼすべての雇用主)は、従業員の授乳休憩を許可し、トイレではない個室の授乳スペースを提供する必要があります。この規定は、従業員が仕事をしている限り、それが従業員の自宅であっても適用されることを強調しています。

 

これは、従業員がコンピューターカメラ、防犯カメラ、ウェブ会議システム(TeamsやZoomなど)などの仕事に関するビデオシステムを使用している際にも、授乳用スペースと授乳時間は与えられなければいけないことを意味します。更にDOLは、在宅勤務中の従業員がビデオ会議に出席している時にカメラをオフにしていても、その従業員は労働時間外と捉えられるべきではなく、その時間に対する報酬を支払わなければならないと強調しています。

 

(2)テレワークとFMLA

FABは、FMLAにおける従業員の資格、およびテレワーカーに適用されるFMLAの”worksite(職場)”の定義について述べています。

 

ご存知の通り、従業員は雇用主のもとで12ヶ月以上勤務し、休暇前の12ヶ月間に少なくとも1,250時間勤務していれば、FMLAを取得する資格があります。1,250時間には、自宅、職場、その他の場所での勤務に関わらず、従業員の勤務時間はすべてカウントされます。FABは、従業員がFMLAの適用を受けるための勤務時間要件を満たしていないことを証明する責任は雇用者にあるため、正確な記録を残すよう注意を促しています。

 

次に、FABは、テレワーカーとFMLAの資格について、しばしば50/75ルールと呼ばれるもの(すなわち、従業員は、その事業所から75マイル以内に勤務する50人以上の従業員がいる事業所で雇用されていなければならない)について、明確な説明を加えています。

 

しかし、FMLAの規定では、従業員の自宅は "worksite(職場) "とはみなされません。"worksite(職場) "とは、従業員が出勤したり、仕事を割り当てられるオフィスのことを指します。複数のテレワーカーや完全なリモートワーカーを抱える企業では、この点が問題になることがあります。

 

しかし、FABはいくつかの有用な例を示しています。以下はその一例です:

 

従業員Bさんは、大都市に本社を置く広告会社でデータ処理を担当しており、75マイル以上離れた自宅からテレワークを行っています。従業員Bの部署の多くの従業員は、異なる都市や州からテレワークをしています。テレワークをする社員は全員、本社に勤務するマネージャーからデータ分析の業務を割り当てられ勤務しています。FMLA資格判定における従業員Bの職場は会社の本社になります。FMLAでは、Bさんが所属するこの部署は異なる都市や州での在宅勤務者がいるが、本社にいるマネージャーとやりとりを行い業務を割り当てられているため、この本社が職場となります。本社または本社から75マイル以内の場所で働く従業員は、合計300人います。そのため、Bさんは、彼女自身が本社から75マイル以内に勤務していなくても、その事業所から75マイル以内に50人以上の従業員が雇用されている事業所で雇用されていることになります。

 

しかし、FABは、一般的になりつつある、本社や事務所を持たない雇用主がどうすべきかについては触れていません。

 

ポイント

リモートワーカーが増加する中、今後、DOLまたは法廷からガイダンスが示されるかと思います。それまでの間、雇用主は次のことに配慮する必要があります。

・会社の授乳に関わる規定を確認し、それが会社勤務の従業員だけでなく、リモートワーカーにも適用されることを確認すること

・テレワーカーに関わる規定や契約を更新し、最近のFABに準拠するようにする。

・FMLAに関わる労働時間を計算する際、業務がどこで行われたかに関わらず、すべての労働時間がカウントするようにする。従業員がこの要件を理解し、自分たちでも正確に計算できるようにしてください。従業員に労働時間の記録と報告を求めることはできますが、最終的にFLSA・FMLAの遵守を証明するために正確な時間記録を提供する責任があるのは雇用主です。

・50/75ルールを根拠に従業員のFMLAを拒否したい場合は、弁護士と相談してください。事実に応じた分析が必要で法律上発展途上の分野になります。

 

こちらの記事の原文(英語版)はhttps://matrix-radar.com/blogs/2023/02/24-1になります。

 

※上記内容は弊社グループのMatrix Absence Management社のBlogの内容をサマリー・説明を追加したものです。具体的な状況に応じた法的助言または判断は弁護士等にご相談下さいますようお願い申し上げます。

 

この記事に関してご質問は、Reliance Standard Life Insurance Companyまで、お気軽にお問い合わせください。

 


 
【執筆】
 

中村 淳(Jun Nakamura)

National Marketing Liaison

Reliance Standard Life Insurance Company

 
 
【プロフィール】
 

2015年東京海上日動に入社し、東京、名古屋で法人営業を経験。

2022年より東京海上グループのReliance Standardに出向し、東京海上アメリカと共に北米で事業展開する日系企業様の従業員福利厚生保険・休職管理の構築をサポートしています。

 

 

【会社情報】

<Reliance Standard>

社名:Reliance Standard Life Insurance Company

本社所在地:1700 Market Street, Suite 1200, Philadelphia PA, 19103

担当:中村 淳

事業内容 :

北米の企業様向けに従業員福利厚生保険・休職管理サービス、個人向けに年金を提供しています。

FMLAを始め、Americans with Disabilities Actなどの連邦法や最近動向が激しい州によるPaid Leave法などに対応する休職管理サービス(Absence Management)を提供しています。また企業様が手配する従業員のための福利厚生保険を提供しています。

E-mail:jun.nakamura@rsli.com

URL:https://www.reliancestandard.com/home/

 

<東京海上アメリカ>

社名:東京海上アメリカ(英名:Tokio Marine America)

本社所在地:499 Washington Boulevard, Suite 1500, Jersey City NJ, 07310

担当:長田 一優

事業内容 :

北米で事業展開する日系企業様向けに各種損害保険やリスクマネジメントサービスを全米50州で提供しています。また、日本と異なるリスクの存在する米国において、新規進出、既進出の企業様が安心して事業を行えるようサポートしています。

E-mail:kazumasa.nagata@tmamerica.com

URL:https://www.tmamerica.com/

 
 

 

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