【アメリカの人事部】セクハラ防止トレーニングは継続しなければならない

セクハラ防止トレーニングは継続しなければならない
皆様もご存知のとおり、アメリカにあるいくつかの州では会社は従業員にセクハラ防止トレーニングを必ず提供しなければならないと定める法律を制定しています。たとえば、カリフォルニア州やニューヨーク州、そしてイリノイ州などの州がそれらに該当します。これらの州に会社のある日系企業様は恐らく州法の要請に従いまして、セクハラ防止トレーニングを社内で実施しているのではないかと察します。ですが、今回の記事ではこれらセクハラ防止トレーニングは会社で1度やればそれでもうおしまいというものではないというところを指摘してみたいと存じます。
州法によって違いがあるのですが、カリフォルニア州ではトレーニングは2年に一度、ニューヨーク州とイリノイ州では毎年トレーニングを実施しなければならないとしています。また、新規入社の従業員に対しては、最初の3ヵ月内で一度提供するということが義務付けられています。つまり、セクハラ防止トレーニングは1度やればそれで終わりではないということです。毎年あるいは2年に一度、継続してトレーニングをしていかなければならないと定められているのです。そこで、この記事をお読みの日系企業で働く皆様にお尋ねしてみたいのですが、これら法律の規定に従って毎年あるいは2年に一度継続してトレーニングをご提供されていらっしゃいますでしょうか。
州法でトレーニングを義務付けている州の労働局や行政当局には、州のウェブサイト上でセクハラ防止トレーニングのビデオをアップしてくれています。トレーニング自体、何も対面で行うことまでは義務付けられていませんので、メディアはビデオや録画媒体であってもそれはまったくかまわないことになっています。ですが、それらビデオは特にアップデートして毎年新しく更新されているわけではないようですので、翌年のトレーニング時期になっても、まったく同じビデオがアップされているだけで、それを再度見させてその年のトレーニング終了ということになされているのでしょうか。そしてまたその次の年も同じビデオを見るという繰り返しになるのでしょうか。
確かに単に法律に従うという観点からいたしますと、従業員に同じビデオを毎年見させることであっても、それはそれでトレーニングをしたことになるという解釈は維持できます。ですが、いくらなんでもそれでは(昔の諺で恐縮ですが)「仏を彫って魂入れず」ではないかと言われても仕方ないと思われます。トレーニングを受ける従業員の人たちにとってもまったく変わり映えしないビデオを毎年見させられるだけでは、新鮮味はないし、マンネリ化してしまって新しく学ぶこともほとんどないかもしれません。つまりトレーニング自体の効果自体かなり疑わしいところがあり、トレーニング本来の目的や意義が果たせていないように感じられるのです。
セクハラ防止トレーニングを継続していく上で、毎年同じビデオの繰り返しではいくらなんでも脳がないといわれても反論できないところです。会社としてせっかく従業員に提供するトレーニングである以上、トレーニングを受けることで新しい学びや気付き、そして職場でのお互いの配慮が生まれることを期待したいではないですか。セクハラ防止トレーニングを提供している外部のトレーニング会社やコンサルティング会社はそこそこ巷にはありますので、そういった外部のリソースを有効活用する、そして何より肝心であることは毎年内容の異なったトレーニングを従業員に提供し、飽きさせることがないように、アップデートしたトレーニングを従業員への新鮮な学びの場にしつづけることではないかと申し上げられます。
セクハラはいまや単に職場で働く男性と女性の従業員の間だけに限定される問題なのではなく、社内外にいらっしゃるLGBTQ+ の人々へのハラスメントも含めたより包括的で広範でしかも多様性に準拠した喫緊の課題となっています。何年も前に受けたセクハラトレーニングとまったく同じ内容ではあってはおかしいわけです。アメリカの社会はダイナミックに動いていますし、法律やルールは常時修正されたり、追加されたりします。必ずしもセクハラ防止トレーニングに限るわけではないのですが、会社が従業員に提供なされるトレーニング内容もそれらの動きや変化をキャッチした最新のものであるべきものだと考えます。
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【執筆】
Pacific Dreams, Inc.
President & CEO
酒井謙吉 Ken Sakai
8532 SW St Helens Dr. Wilsonville, OR 97070
www.pacificdreams.org
Email : kenfsakai@pacificdreams.org
Phone: 503-783-1390
【プロフィール】
信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。
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No.65 カリフォルニア州 Paid Family Leave利用した従業員一人につき最大$2,000の給付金 | E-1 VISAの申請方法の説明
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