【アメリカの人事部】ジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判からHRは何を学ぶか?

 

   

 

 

 

ジョニー・デップとアンバー・ハードの裁判からHRは何を学ぶか?

 

 

裁判の概要

ある大衆紙は2018年4月に、ジョニーがアンバーにドメスティック・バイオレンス(家庭内暴力=DV)をはたらいたと報じているが、ジョニー側はDVの事実はなく、アンバーがウソをついているとして、The Sunの報道を全面的に否定。一方、アンバーは、当時、アルコールや薬物を乱用して正常な精神状態になかったジョニーから、再三にわたり激しい暴力を振るわれたと主張。この二人の主張が真っ向から対立してお互いに損害賠償を求める裁判が展開された。

 

 

裁判の流れは化粧品の証拠で変わった。

裁判の流れは証拠としてアンバー側が出した化粧品がきっかけで大きく流れが変わった。アンバー側は暴力を振るわれてアザができた顔をミラニ・コスメティックス社の化粧品を使ってアザを隠したと証言したのだ。

 

しかし、ミラニ・コスメティックス社はこの裁判の様子を見て、2016年にアンバーがアザを隠すために使ったと証言している我が社の商品は「2017年に発売されました」とTikTokで発信したのだ。つまり、まだ発売されていないファンデーションでアザを隠していたと証言したことになる。この証言ですっかりアンバー側は「嘘つき」という印象を与えてしまう。その後の証言でも複数の嘘が次々と出て来たようだ。

https://news.yahoo.co.jp/byline/saruwatariyuki/20220427-00293271

 

 

結果はジョニー側の勝訴。

ジョニーとアンバーの裁判は、6週間にわたる激しい法廷闘争の末、2022年6月1日に評決が下された。名誉毀損を訴えていたジョニー側の主張が認められ、アンバー側は元夫に1500万ドルの支払いを命じられた。一方、ジョニー側の弁護士がアンバーの名誉を毀損したという反訴も認められ、ジョニーは元妻に200万ドルの支払いを命じられた。

 

勝訴のカギは「嘘つき」という印象を与えてしまったアンバー側の自滅という印象だ。

 

 

HRはこの裁判から何を学ぶか。

ご存知のような従業員から会社が訴えられた際にも、最初は事実確認のディスカバリーの期間が設けられる。ディスカバリーの期間に相互の事実関係を確認していくわけだが、双方とも正直に証言をすると宣誓をして事実を述べていくことになる。

 

HR関連の書類もすべて提出が求められる。HRとしてはアンバー側のような「嘘つき」にならないように事実を固める証拠を提出できるようにしておく必要がある。

 

1.事実を証明する書類を残す

何が起こったのかという証拠がない場合、それを証明することはとても困難になるということだ。HRのキーワードはドキュメント、ドキュメント、ドキュメントと言われるように評価の記録、段階的懲戒(Warning Letter等)の記録、そのような記録に署名と日付を入れること等、事実を証明する証拠があるか否かはとても重要だ。

 

2.パフォーマンス低下やポリシー違反を見て見ぬふりをしない

パフォーマンスの低下や従業員のポリシー違反等は段階的懲戒(Warning Letter等)の記録をとりながら、行動の改善に努める必要がある。パフォーマンスの低下や従業員のポリシー違反を見て見ぬふりをしてしまうと記録、証拠を積み上げることが出来なくなる。あるいは見て見ぬふりをするというよりも黙って我慢をしてしまうこともよくあるようだ。「毎週会議で実績報告をしているのだから自分の業績が悪いのは分かっているはずだ」という思い込みは大きな代償を生むことがある。

 

3.HRが積極的なアプローチをする

HRは上記の2点をHRだけで運営するのではなく、各部門のマネジャーにも適切なトレーニングを行い、記録をとっていくマネジメントの行動を引き出すように働きかける必要がある。訴訟のリスクを最小限に抑え、一貫性のあるマネジメント行動ができるように働きかけるべきだろう。

 

参考:EntertainHR: 3 Lessons to Learn from Depp-Heard Defamation Litigation

By Frank Day, FordHarrison LLP May 18, 2022

 

▼ジョニーデップとアンバーハードの訴訟に学ぶHRへのレッスン

https://hrdailyadvisor.blr.com/2022/05/18/3-lessons-from-the-depp-heard-defamation-litigation/?utm_source=elinfonet

 

 

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【執筆】
 
 
Philosophy LLC
President
山口 憲和   (Norikazu Yamaguchi)
Email:yamaguchi@yourphilosophy.net  
 
 
【プロフィール】
MBA, SHRM-SCP
CA Insurance License: 0F78137
日本キャッシュフローコーチ協会認定コーチ 会員番号463
 
 
群馬県高崎市出身
2000年より米国型人事コンサルティングを行う。
2004年からロサンゼルスに拠点を移し、日系企業を中心に500社以上のコンサルティングを経験。米国人事に欠かせない保険のライセンスも取得し米国人事のサポートを行っている。
また、米国人事プロフェッショナルとしての資格 SHRM-SCP=SHRM(Society for Human Resource Management=米国人材マネジメント協会)Senior Certified Professionalを取得。  
 
 
(学歴 )
群馬県立高崎高等学校卒業
東京外国語大学 外国語学部 
中国語学科卒業 中国 復旦大学 国際文化交流学院修了
慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 修士課程修了(MBA)  
 
 
(職歴)
全日本空輸株式会社(ANA)、Mercer Human Resource Consulting等を経て現職  
 
 
(共著書)
A&R優秀人材の囲い込み戦略A&R優秀人材の囲い込み戦略  
 
 
 
【会社情報】
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Philosophy Insurance Services
所在地:609 Deep Valley Drive, WEST TOWER Suite 358
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*2022年1月よりオフィスを移転しました。/Moving to New Office
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【事業内容】
日系企業向け人事コンサルティング・保険代理店業務  
 
 
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