【アメリカの人事部】1on1で対話をすると組織の何が変わるのか? ~4ヶ月で起こせる変化~

 

 

 

     

 

 1on1で対話をすると組織の何が変わるのか? ~4ヶ月で起こせる変化~

 

今回は、弊社が提供している日系企業を中心とした駐在員向け組織開発プログラムにおいて、事前と事後のアセスメントを組織で実施することにより、読み取れるパターンがあることが分かりましたので、それについてお話させていただきたいと思います。

 

駐在員向け組織開発プログラムでは駐在員自身が変化することにより、組織が変化していく過程を支援しております。参加者は約4ヶ月のプログラムの中で、2種類のトレーニングに参加し、そこで出されるワークを職場で実行していきます。職場のチームに対してグループで行うものもあれば、1on1で実施するものもあります。

 

アセスメントは、4つの領域で180度(チームメンバーと参加者本人が回答)で行います。「リーダーシップ」と「コーチングスキル」の領域では、本人は自己評価、チームメンバーは参加者本人について回答します。「ダイバーシティ&インクルージョン」と「エンゲージメント」の領域では、本人もチームメンバーも自分が働いている組織について回答します。

 

4ヶ月の間、プログラムに参加する駐在員は、チームメンバーと毎週1回30分程度、1on1を実施します。ツールを使って、雑談的に1o1をする時もあれば、業務の目標を扱う時もあります。テーマやツールは全てプログラムで準備されていますが、共通していることは、自分の話はせず、チームメンバーに話させるという点です。ある人にとっては、修行とも言える時間かもしれません。取り組みの結果として以下のことをアセスメントから見ることができます。前提として参加者とチームメンバーは、プログラム実施前の3ヶ月間で約3.5回1on1を実施していました。プログラム期間中の3ヶ月間は約10回1on1を実施しています。

 

 

カテゴリー別の事後の伸び率は、「コーチングスキル」が0.14ポイント、「リーダーシップ」が0.18ポイント、「ダイバーシティ&インクルージョン」が0.65ポイント、「エンゲージメント」が0.26ポイントです。

 

また、事後の伸びが高かった項目は、伸びた順に下記となります。

多様性の推進度:1.03ポイント

質問肢:私はこの会社は多様性のあるチームを作るために時間とエネルギーを使っていると感じる

尊重されている実感:0.68ポイント

質問肢:私はこの会社で自分の文化的・人種的・宗教的・年齢・性別等の背景に価値を置かれていると感じると感じる

挑戦風土・一体感:0.67ポイント

質問肢:職場には、誰もがもっとがんばりたいと思うような雰囲気がある

職場の勤続意向:0.58ポイント

質問肢:私は転職や異動をしたいと思うことは滅多にない

評価の透明性:0.54ポイント

質問肢:私はこの会社の昇給/昇格の基準が明確で透明性があると感じる

 

これらの変化を生んだポイントは、3点あります。それぞれ、私の解釈を書かせて頂きます。

 

1つ目は、忙しい駐在員が頻度高く継続的にチームメンバーと1on1の時間を確保したこと。それが如実に表れているのが1.03ポイント上昇した多様性の推進度「私はこの会社は多様性のあるチームを作るために時間とエネルギーを使っていると感じる」です。この中で重要なのが、「時間とエネルギーを使っている」です。具体的に時間を取るだけでも大変なことですが、その時間、チームメンバーのためにエネルギーを使う、要は相手が主役の時間にする、ここが変化を生むスタートラインになります。

 

2つ目として、その時間に扱われる対話の中身です。アセスメントのコーチングスキルの領域で事後の伸びが高かったのが、目標の明確化「1on1の時間で、チームメンバーの目標を明確にしている」です。ここでのポイントは、問題や悩みを扱うのではなく、目標を扱うということです。ゴルフのスコアで100を切るのが目標なら、苦手なドライバーを改善するのではなく、グリーン周りを上達させる(私の場合)。問題を扱うか、目標を扱うかによって、取るべき行動は変わってきます。また、問題や課題ではなく、目標からスタートすることにより、課題の捉え方も前向きになります。このコーチングスキルは、挑戦風土・一体感の醸成に直結していきます。

 

3つ目は、フィードバック伝達「普段からチームメンバーの話しを聞いて感じたことを率直にフィードバックしている」です。これについては、チームメンバーの話を聞いた上で、相手の目標に対して自分の意見を伝えるスキルを指します。フィードバックについては、駐在員自身が自分や組織についてのフィードバックを取りに行くワークも多く設定されており、それが尊重されている実感につながっていると思います。

 

今回あらためてデータをまとめて、1つ番外編として気づいた点があります。それは、どの企業もこの期間に人事制度を変更していないにも関わらず、評価の透明性「私はこの会社の昇給/昇格の基準が明確で透明性があると感じる」が0.54ポイント上昇したという点です。回答者のうちの半数が5点満点で1ポイント高く付けたということになります。もともと数値が低い項目で日系企業にとっては悩ましい領域だとは思いますが、副産物としてこの項目が上がるのは、あらためて人間同士の対話が生み出す変化の可能性を感じずにはいられませんでした。

 

 

※この記事に関してのご質問は、EggForward Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。  

 


 

  【執筆】

  

 

EggForward Inc.

海外事業部 ダイレクター

高林 綾子  Ayako Takabayashi

www.eggforward.co.jp

Email :ayako.takabayashi@eggforward.co.jp

 

【プロフィール】

みずほ証券に勤務後、小学生から社会人を対象とした英会話スクールを立ち上げ、短期留学や講師の企業派遣も行う。事業売却後、拠点をシンガポールに移し、コーチ・エィに入社。シンガポールとバンコクに8年駐在し、日系企業の現地化に向けてエグゼクティブコーチングの案件を100社以上に導入。エッグフォワードに入社後は、世界中の日系企業に対する組織変革支援に従事。

 

【事業内容】

組織変革支援事業・イノベーション&プラットフォーム事業・スタートアップ支援事業

   


 

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No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

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No.56 【報酬】募集広告にサラリーレンジの開示義務(アメリカ流ジョブ型雇用義務化の流れ) | 日米税務当局間の金融口座に関する情報交換

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