【アメリカの人事部】人材難が続くアメリカのGreat Resignation

人材難が続くアメリカのGreat Resignation ~いま何が起こっているのか~
皆さまも見聞きされている事と存じますが、アメリカでは現在労働力不足が叫ばれています。その傾向があまりに顕著であるため、「Great Resignation (大量退職)」と呼ばれる様になりましたが、一体なぜこの様な事態が発生しているのか、また企業としては何に気を付けなくてはならないのか、といったポイントを整理しています。
◆これまでの流れ
これまでの流れを振り返ると、発端はアメリカがロックダウン状態に突入するなどの影響もあり解雇者が多く発生した頃まで遡ります。その頃、アメリカのコロナ対策法案であるCARES Actによって失業保険の手当が手厚くなる事が決定し、大量の失業者達が生活に困窮するのを大幅に抑える事に成功すると同時に、失業前よりも収入が増えたケースも発生していました。その手厚い失業保険を受給出来ている間は、労働者が復職しない事は誰もが分かっていた事なのですが、その失業保険の追加支払いが終わったタイミングでも労働者が戻って来なかった頃から雲行きが大幅に怪しくなってきたとされ、2021年8月に430万人、9月には440万人が退職した事態がGreat Resignationを確固たるものにしました。ちなみに、その頃の退職者の多くは食品・小売り・教育関連の労働者であり、2021年8月の退職者は飲食関連が6.8%と最も多く、続いてレジャー関連が4.7%だったとされています。
◆なぜ退職したいのか
この頃に退職した人たちは、新型コロナウイルスに依然として不安を覚えている低所得層の労働者だけでなく、普段の生活で行っている事を変えたいと考える中間所得層の労働者も多く、精神衛生面の良い、ワークライフバランスの取れたより充実した生活を希望する流れや、労働者が雇用者との関係を見直そうとしている流れがあるとされています。そして、その退職者たちに共通して存在する背景として、「バーンアウトが原因」があるとも指摘されています。逆に、現職に留まった人たちのモチベーションの第一理由は「リモートワークや働き方のフレキシビリティ」という事で、このトレンドを引っ張っているのはミレニアル世代やGen-Z世代を中心で、安心と十分なお金への欲求や、企業から敬意をもって接する事を望んでいるという事だそうです。
◆企業への影響
この様な状況が企業に対して及ぼす影響は当然大きく、特に、求人件数に対して労働者が足りない事から生じる人材の争奪戦は避けて通れないものとなります。争奪戦となると、まず思い浮かぶのが募集時の金額を上げる事ですが、これは一時的な効果しか上げられないとみられています。やはり、退職のトリガーとなっている事は「生活感の見直し」という事なので色々と考える必要がありますが、同時にこれ以上退職者を出さないための努力も重要です。生活感の見直しという観点では、業務スケジュールの調整やリモートワーク/ハイブリッド型の働き方導入などが考えられ、バーンアウトしそうな従業員に対しては、一旦休暇を与えてサポートする事などの措置を検討する必要がありそうです。いずれにせよ、雇用者側の一方的な判断では無く、従業員の声に耳を傾ける事が重要となります。また、Job Requirementが明確で無い、業務過多にさせてしまっている、ゴールが明確で無い、良いフィードバックを与えないなどといった事を避ける事も重要とされています。
◆今後の活路を見出すHRという分野
前述された「業務スケジュールの調整やリモートワーク/ハイブリッド型の働き方導入」や「バーンアウトしそうな従業員に対するサポート」などは、正にHR(Human Resources≠人事)の分野になります。今回求められる役割としては、平常時の「採用とリテンションの見直し」や「働き方改革」というものでは無く、今後の企業存続に向けた取り組みになるかと考えられます。
そのため、専門家を入れずに手探りで取り組むのでは無く、アメリカで100年以上も研究がなされているHRという分野の各専門家を交えて進める事が成功の鍵となると考えられます。皆様の組織でも、予想以上に深刻となったニューノーマル時代を生き残り、そして組織を更に前進させるために、HRの役割やその重要性に関して今一度考察されてみてはいかがでしょうか。
参考関連動画:【11月に450万人が退職!】いまアメリカが迎えている労働革命【Great Resignation】
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【執筆】

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全米各地の日本商工会議所やJETRO、日本ではVenture Café TOKYOや大学などで講演を重ね、メガバンクのサイトを大好評連載中。
アメリカと日本双方の義務教育を始め、日本にあるベンチャー/上場企業、日本に本社を置く米国法人、アメリカにあるローカルの日系企業、および純米系企業の勤務経験があり、日米における文化の違いを熟知するバイリンガル。中央大学経済学部卒。
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