クラウド時代のネットワークを実現するSecure Access Service Edge(サシー)

クラウド時代のネットワークを実現するSecure Access Service Edge(サシー)
さまざまな企業でリモートワークの導入が進む昨今、クラウドを活用することで、どこからでも、どんなデバイスからでも情報にアクセスできるようになりました。しかしながら情報の管理やセキュリティ面での課題もあり、クラウドコンピューティングの導入、活用に踏み切れない企業も多くあるかと思います。
そこで今回は、Secure Access Service Edge (以下、SASE)について、その概要と導入のメリット等について説明します。
そもそもSASEはなぜ必要なのか?
現在、多くの企業では、業務で使われているアプリケーションの多様性や、デバイスの増加に対して、それらを支えているネットワークのバックボーンやセキュリティに対するニーズは、現状では十分に応えられていません。そこで以下のような課題が存在します。
1.クラウド移行によるリスク増加
従来、企業のネットワークはトラフィックを一度データセンターに集約させ、外部インターネットとの接続境界線をデータセンターに置く設計で運用されてきました。つまりデータセンターを境界線として、企業の自社内情報資産を保護し、外部インターネットへの接続を管理するポリシーです。
しかしアプリケーションがクラウドに移行することで、これまでのようにデータセンター集約型の運用とは異なる新しい課題もでてきました。
SaaSなどのクラウドアプリケーションをデータセンター経由で利用する場合、アプリケーションごとに異なるポリシーを適用させる必要性が発生し、管理コストの増大やネットワークの帯域増加、大きな遅延が発生し、効率性と生産性に大きな影響が発生します。
2.従来型運用の弊害
海外から日本国内のデータセンターにアクセスしようとしても、セキュリティのコントロールがうまく働かず、うまくアクセスできないというケースも存在します。これは従来型のネットワークとセキュリティで運用しているための弊害です。
このようにクラウドを活用しようにも、従来型のネットワークとセキュリティの運用では、十分に活用しきれない現状があります。そのため、これからのクラウド時代にはSASEの考え方が必要とされています。
SASEとは?その概要と仕組み
SASEとは、2019年8月にGartner(以下、ガートナー社)が公開した「The Future of Network Security Is in the Cloud」で新しく定義されたネットワークセキュリティモデルです。
ガートナー社は、これからのデジタルビジネスではいつでもどこでもアプリケーションやサービスにアクセスする必要があり、そのアクセス先はクラウドであるとしています。
クラウドにはさまざまなネットワークやセキュリティのサービスが提供されていますが、現在それらはバラバラに存在しており、包括的に機能を提供されているものではありません。そのため同社はネットワークやセキュリティを管理しやすい状態にするため、ネットワークサービスとネットワークセキュリティサービスの統合が必要であると主張しています。
SASEではネットワークとセキュリティの機能を包括的にクラウドから提供するモデルです。SASEの導入により、ネットワークやセキュリティの管理負荷が低減され、エンドユーザーの利便性の向上の実現を目指します。
SASEではネットワーク機能とネットワークセキュリティ機能をクラウド上で統合し、必要な機能をエッジに対して提供します。
従来、業務で使われるアプリケーションは社内ネットワークや各拠点のオンプレミスで提供されていましたが、SASEではすべてのアプリケーションをクラウド上に集約してからエッジに提供されます。これによりデバイスやエッジの数が増えても、一貫したセキュリティポリシーを適用させることができ、さらにパフォーマンスの低下を起こさずにサービスの提供が可能になるということです。言葉を替えると、インターネット回線だけ準備し、クラウドに接続したら企業内のネットワーク機能とネットワークセキュリティ機能の両方が提供されるということです。従来の企業ネットワーク、セキュリティそれぞれに専用のルーター機器、ファイヤーウォール等の機器を購入、それぞれに設定を入れて運用していたのに比較し、とてもシンプルになると言えます。
SASEのメリット
従前のネットワークセキュリティは、外部インターネットとの境界線をデータセンターとしたオンプレミス型です。ファイアウォール機能、オフィス間のネットワーク(MPLS/SD-WAN)、リモートワーカー用のVPN装置等、ネットワークもしくはセキュリティで必要とされる要件の「1つ1つを組み合わせ」、パフォーマンスがきちんと担保されるように設計/運用する必要があります。

この図のとおり、SASEではこの「1つ1つの組み合わせ」は不要なのです。
1.データセンター/オフィス/リモートワーカーはいずれもセキュアな形でSASEのクラウドに接続する。※オフィスはSD-WAN、リモートワーカーは専用クライアントソフトウェアを利用したZTNA/SDP。(注:ZTNA(Zero Trust Network Access)、SDP(Software Defined Perimeter)。VPNで利用されるACL(アクセスリスト)とアプローチが異なり、アプリケーション単位でアクセス制御が実施される)
2.SASEのクラウド内で、統一的なセキュリティポリシーの元、外部クラウド、インターネット等にアクセスする。
つまり、外部との境界線が従来のデータセンターからこのSASEのクラウドに移行するのです。この「1つ1つの組み合わせ」により生じる手間を、SASE事業者がSLAにより担保して運用してくれるということです。
効率的な投資 – Catoクラウド –
この度、KDDIアメリカでは、SASEのサービスであるCatoの提供を開始しました。Catoは、セキュリティ面で一目置かれるイスラエルをベースとし、世界190以上の国や地域で利用可能であり、KDDIアメリカだけではなく、KDDIグループ一体となって提供をしているSASEのプロバイダです。

上の図は、Catoのクラウド内で提供される各種セキュリティ機能の一覧です。セキュリティ機能の「統一的なポリシーの実現」だけでなく、クラウドに移行することでむしろ不安となるような、ログ保存(6か月間保持)や、MDR(Managed Detect Threat and Response)といったレポーティングサービスも利用できる仕様となっています。
新しい働き方を実現していく中で検討される1つの課題である、安全かつ便利にクラウドを活用することについて、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。
※この記事に関してのご質問は、KDDI America までお気軽にお問合せください。
【執筆】

KDDI America, Inc.
Supervisor
マーケティング部門
中田 晃史(Akifumi Nakata)
【プロフィール】
2017年KDDI株式会社に新卒で入社。初期配属の総務部にて、「つなぐのは思い、つなぐのは笑顔」の言葉を強く意識し、通信キャリアとして、単に電話をつなげるだけではなく、人の「思い」や「笑顔」をつなげていきたいと、約4年間、KDDIにおける事業継続計画(BCP)の策定に従事。各省庁、関係機関との連携体制の構築や、災害時の通信早期復旧および事業継続に係る取決めを経験。
2021年よりKDDIアメリカに出向。マーケティング部門にて、その計画の策定、ウェブページ作成等、マーケティングに係る業務を広く担当。
趣味はサッカーや旅行。大好きな英・アーセナルFCの試合を欠かさずに観るのが日課で、アーセナルの勝利が次週の活力になっている。
法政大学卒
独・フンボルト大学(ベルリン大学)卒。
専門は統計学、経済学
【会社情報】
社名: KDDIアメリカ (英文名称: KDDI America, Inc.)
本社所在地:7 Teleport Dr, Staten Island, NY 10311
代表取締役社長: 延原 正敏
事業内容 :
北米内の8拠点をベースにブラジルやメキシコなど中南米もカバー。 企業ICTサービスの提供にとどまらず、クラウド導入支援、 メッセージ配信プラットフォーム、業務効率化アプリケーション、 RPA、工場IoT、といったさまざまなサービスを用意し、 お客さまの挑戦を全力でサポートいたします。
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