【アメリカの人事部】米国駐在者へのトレーニング

 

   

 

   

 

米国駐在者へのトレーニング

 

日本から駐在する国を知らされる場合、アメリカであればホッと胸をなでおろすケースが多いと思う。治安状況もいいから家族もつれて行けるし、インフラもしっかりしている。長期のバケーションだね、と揶揄されたという例も聞く。送り出すほうも、テロ対策などの危険防止の教育を施さなくてもいいので、教育や医療など現地での初期のSettle Downに必要な情報だけで送り出す。本人も、不安ながらもサウジアラビアやブラジルに行くよりは緊張しなくて済む。しかし、だからと言って、全く研修などのトレーニングが必要でないわけではない。異文化への理解、法規制への知識、現地の部下をうまくマネージするためのスキル、海外で会社を運営するための知識やスキルや姿勢、言うまでもなく、中程度以上の英語力も必要である。

 

その中でも第1に上がるのは、米国での雇用法などの人事関連の法律知識の有無だと言われる。弊社は、パシフィックドリームス社の酒井さんとよく仕事をするが、彼に言わせると日系企業で一番クレームや訴訟につながるのは、人事関連に関してだそうだ。特に差別関連の発言がまずい。決して、法律を知らないわけではないが、日本でのやり方や意識のまま米国の職場で働いていると、ローカル社員が眉を顰める言動が目立つようになる。特に「こんなことでは問題にならないだろう」と思っていることが落とし穴になる。大部屋の向こう側から大声で注意したりするのはご法度だし、日本人同士だけで食事に行ったり会議をするのも、ローカルのマネジャーにとっては差別されていると思われる発端にもなる。法律を知っていても意識が低ければ使えない。トレーニングとして、過去に日系企業で起こったケーススタディなどを勉強しておくことで防げることが多い。

 

そのほか、法律関連では賄賂を贈る、仕事目当てで便宜を図るなどの腐敗法関連の問題も増えているという。米国の腐敗法(FCPA)は国家機関に勤める人への贈賄を厳しく整備しているが、近年FCPAに関わるFBIの人員も増員されたということで、日系企業にもその捜査が及ぶ例が増えてきている。これらも、どのようなケースが腐敗法に相当するのかなど、日系企業特有の、実際の過去例やケーススタディによって自分の行動に規律を与えることが必要である。

 

また異文化に対する理解も欠かせない。ドラフト段階のプレゼン資料の中にある「フォント」を真っ先に指摘する上司は「何を見ているんだ、この上司は?」と威厳をなくすだろうし、仕事をちょっと早めに切り上げて、子供の野球の決勝戦を見に行ったローカル社員をなじる上司も職場の雰囲気を壊す。そして、「全くフィードバックをくれない」「注意だけして全く褒めてくれない」などもローカルの社員からよく聞く不満である。

 

最後はマネジメントスキル。米国では、マネジャーになるとマネジメントスキルを研修する。知らなかったら誰も部下の管理などできないし、知っていてもきちんと系統立てて理解し、マネジャーとしてぐんぐん伸びてほしいからだ。日本では、自分の上司のやったことを思い出しながらマネジャーをやってみるトライアンドエラーの世界と言えるかもしれない。しかし、特に、駐在で海外に来て初めて部下を持つのなら、きちんとマネジメントスキルのトレーニングを受けることを勧めたい。自分自身も成長が早いし、部下も手ごたえを感じる仕事をするようになるだろう。マネジメントスキルはスキルなので、学べば身につく類のものである。フィードバックの与え方、そのタイミング、何を伝えればいいのか、指示の与え方、人事考課のやり方など、しっかりとお手本を確認し、自分のものにしていけば日本に帰った時にも一枚上手の上司と評判が立つはずだ。

 

重要な点は、自分の意識をアメリカでの自分、に変えることではないかと思う。日本とは確実に違う何かが流れており、それは法律や文化や慣習に表れている。Bring Daughters to work dayなどがあれば、その背景をよく理解したいと思う事が大事だし、高校のフットボール部のQBがどんな存在で、その親だったらどんなことを考えるだろう、と思ってみることもトレーニングの一つになる。自分がアメリカ人だったらどう行動するだろうか?という観点と、ここまで養ってきた自分の肌感覚を合わせることで、自分のビジネスパーソンとしての幅を広げ、グローバルマネジャー、リーダーになっていくのだと思う。

 

※この記事に関してご質問は、Waterview Consulting Group, Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。  

 


 

【執筆者】

 

 

Waterview Consulting Group, Inc.

CEO

今泉江利子

www.waterviewcoaching.com

www.waterviewelm.com

email: eriko@waterviewcoaching.com

914-433-1447  

 

【プロフィール】

米系証券会社での15年の経験後、起業、09年コーチング認証取得、座禅オタク。  

 

【事業内容】

企業研修、コーチング、eラーニングを提供。「駐学」ラーニングポータルサイトHORENSO。    

 


 

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No.2 人事が知っておくべき高額医療/消費者保護法(CCPA)施行/感染症対策

No.3 コロナウィルス拡大で米国CDCも推奨「在宅勤務」について/シックリーブ

No.4 在宅勤務特集/在宅勤務に関するQ&A

No.5 コロナウイルスに関するQ&A/WiFiの規定/より快適な在宅勤務のコツ

No.6 CDC雇用者向けページを確認しよう/After COVID-19の訴訟について

No.7 ポスト・コロナの職場環境/ビザ取得の状況/WEB面接のコツ

No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

No.10  コロナ禍で考える「評価制度の構築」/ Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いであるから

No.11 移民法、雇用調整助成金(ERC)最新情報

No.12 失業保険の不正受給が急増/評価制度Q&A

No.13 職場におけるコロナ関連訴訟/ オフィス対策/ 感染テスト

No.14  ジョブ型?メンバーシップ型?/自主隔離を終了させる新たなガイドライン

No.15  CA州無給休暇と収入保障/強い企業になる!ブラックスワン比較とは

No.16 ポストコロナの新入社員研修/最新移民法/リモート採用注意点/失業率の推移、学校再開Q&A

No.17 訴訟が多いワースト10/コーチングの活用目的

No.18 緊急有給シックリーブ法の改定/リモートでのコミュニケーション

No.19 各州の雇用に必要な給与額/従業員が感染!会社としての対策とは

No.20 2021年は2.6%昇給すべきか?!/採用もマーケティングと同じ

No.21 バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢/H1b申請新基準

No.22 企業が提供する祝日と割合/オンラインホリディパーティゲーム9選

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No.24 2021年有給シックリーブ法/何はなくともブランディング

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No.26 ワクチン接種を強制しますか?/H-1Bビザ抽選プロセスの変更案について

No.27 大統領令と法律の違い/医療費控除を最大に/州政府の仕事を請け負うには

No.28 従業員ベネフィットのトレンド/COVID後のオフィスデザイントレンド

No.29  COVID-19救済法と人事関連情報/コミュニケーションは進化する/音声メディアを考えてみる

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No.38  なぜ過去の給与履歴を質問してはいけないのか?/ オンラインビジネスの主な形態  

No.39  来るべき人材採用難と従業員の離職対策/ 新しい「働く」をデザイン-オフィス再開に向けて-/ 「日本型」ジョブ型雇用が抱える課題 

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No.41   日本にあってアメリカにないものは?/変化の時代ころ「パーパス」について語り合う‘

 

 


 

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