【アメリカの人事部】予定納税ってなに?自分には関係ある?

 

 

 

      

 

予定納税ってなに?自分には関係ある?

 

 

Source: IRS Publication 505

 

アメリカの個人納税者は、源泉徴収(withdrawing tax payments)または予定納税(estimated tax payments)のいずれかの方法で、あるいは両方で、今年の予想所得に対する税金を「見込み税額」として支払う義務があります。そして、「年末調整」という形で翌年の4月15日までにタックスリターンを行い、実際の所得額と控除額とを計算して調整後総所得を算出し、見込み税額が少なかった場合(=過小支払い)は追加して税金を支払い、逆に多く支払いすぎていた場合は還付金という形で返金してもらう手続きを行います。今回はこの「予定納税」に注目し、注意点を考えます。

 

1.誰が予定納税をしなければならないの?

この源泉徴収と予定納税というのは、どちらかひとつをすればよいというものではなく、ふたつの方法で納税をしなくてはならない対象者もいます。それは、例えば、会社員の方が、現在勤務している会社からの所得(Form W-2に記載される収入)以外の所得が見込まれる場合などに当てはまります。一般的に、会社勤務の方は雇用主が給与計算サービス会社を通して源泉徴収という形で代わりに税金を納めてくれているので(つまり、雇用主が従業員に代わって予定納税をしてくれているので)、納税者はその年の収入の予測をしっかり行い雇用主にその分の源泉徴収をしてもらう手続きをすれば、あとはタックスリターンをするだけで済みます。また、会社勤務者がその雇用主とは別に賃金を受け取っている場合でも、現在の雇用主へさらに多くの税金を源泉徴収してもらうように依頼することで、自分で予定納税を行う必要をなくすこともできます(Form W-4を雇用主へ提出します)。

 

しかし、たとえば個人事業主の場合は、会社が代わりに予定納税をしてくれることはありませんので、ご自分で予定納税を行う必要があります。

 

2.いくら納税すればよいの?

 源泉徴収や予定納税のいずれの場合でも、見込み税額(先払いする税金)が十分でなかった場合は、その過少支払いに対してペナルティが課せられる場合があります(Underpayment of Estimated Tax by Individual)。ペナルティを避けるために妥当な予定納税額は?というと、次のうち最も低い金額を先払いすることが必要になります:

 

①(今年度の見込み税額 ― 今年度の確定税額)>1,000ドル

②今年度の見込み税額 >(今年度の確定税額×90%)

③今年の見込み税額 = (前年度の確定税額×100%)
(収入が150,000ドルの場合は×110%)。

 

給与所得者でも特に前年度から所得に大きな変化がないと思われる場合は通常の源泉徴収の範囲でよいのですが、所得が前年度より増えることが前もってわかっている場合などは、前年より上乗せした見込み税額を源泉徴収してもらったり、ご自分で予定納税をしたり、追加支払いが起こった場合を考慮したキャッシュフローの計画を行うことが重要です。例えば、日本の給与がある駐在員や、日本のほうで大きな金額のボーナスがある場合などは考慮が必要です。

 

もうひとつ大切なことは、タックスリターンの期日を4月15日から延長申請をした場合、たとえ延長手続きは済んだとしても、確定税額の90%が見込み納税されていない場合は、延長申請が却下され申告遅延によるペナルティが課せられるのでご注意ください。また、税金の追徴課税は申告書を提出してから通常3年で時効となりますが、25%以上の過少申告がある場合、時効は6年になります。そして、日本の場合は税務申告が未申告でも5年で時効となるのに対し、アメリカでは申告していなければ何年たっても時効自体が成立しませんので気を付けましょう。

 

3.いつ、どうやって納税するの?

予定納税は一括して納税するのではなく、4回に分けて行います。これを四半期納税と言います。Form 1040-ES提出時に小切手同封で支払うか、オンラインで銀行引き落とし、クレジットカード、支払いプランを利用して支払うことができます。

 

支払い期日は、4月15日、6月15日、9月15日、翌年の1月15日となります(祝祭日の場合は翌営業日)。この4回の期日は単純な四半期ごとではないのでご注意ください。最初は3か月、そして2か月、3か月、4か月と間隔が空きます。予定納税には気を付けるポイントがいくつもあるので、IRS発行の資料源泉徴収見積計算サイトを参考にし、予定納税額を計算してください。

 

まとめ

1.サラリーマンでも予定納税が必要な場合があります。源泉徴収は予定納税の一部と捉えましょう。

2.しっかりと予測して見込み税額を計算することが大切です。ペナルティを避けるためには、「今年の9割、前年と同額、1,000ドル以上」を念頭に入れてベストなオプションを選びましょう。

3.予定納税は4半期ごと。しかし、単純に3か月毎ではないので要注意。

 

 

この記事は、複雑な税法や規制をできるだけ簡単にポイントだけを理解していただく目的で提供されています。内容が不確かな場合、実際のアクションを取る際等には、常に税務・法務などの専門家と相談をしてください。    

 

 

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【執筆】

 

 

CDH会計事務所

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