【アメリカの人事部】短期の離職を抑えるためにできること

 

   

 

   

 

短期の離職を抑えるためにできること

   

2021年は特に労働者の動きが増加する年

パンデミック後の復興を支えてもらうために雇った従業員を、どうやってつなぎとめよう、と悩んでいる会社も多いのではないでしょうか。

それもそのはず、SHRM(Society of Human Resources Management)の記事によると、調査に応じた労働者の半分以上が2021年には職探しをすると答えています。他の調査でも25%もの人がパンデミックが終わったら現在の職を辞職するつもりと答えています。2021年は特に労働者の動きが多くなる年になりそうです。  

 

離職者数の推移を見てみましょう。パンデミック前の全米の労働者の離職者数は月平均350万人(SHRM調べ)ですが、パンデミックの真っ只中、20年の4月には190万人に減っています。普通なら職探しに出る人たちも、求人自体が無いし、今の職を保ってどうにかこのパンデミックを乗り切ろう、と考えたことの現れです。けれどもその数は20年の12月には330万人に上昇。それからは上昇の一途になるとみられています。2021年は新規求職者や失業者は少ないのにリタイアする人は反対に増加するうえ、求人は増える状況にあるので売り手市場になる見込みです。ということは、求職者はより良い仕事を求めて、よりジョブホッピングを強める傾向があるとも言えます。    

 

 

辞める理由

ここでどうして離職してしまうのかについて考えてみましょう。長年弊社のHRコンサルタントを務め、ADP他、米国大企業でHRマネージャーを務めてCrothers HR Consulting を設立したLaura Crothersに聞いたところ、「もちろん会社へのエンゲージメントが生まれなければ辞めてしまいます。でも辞める理由は人それぞれ。あまり回転が速いのならば、なぜ人がすぐ辞めるのか外部のコンサルティング会社などを使って一度しっかりと調べることが大事」という答えでした。  

 

下記はLauraに聞いた短期の離職理由です。中にはびっくりするような理由もあります。  

 

・会社にエンゲージメント、コミットメントが作れなかった

1.1週間も誰もランチに誘ってくれなかった

2.他の部署に紹介に行ったときに邪険にされた

3.受け入れの準備ができていなくて最初の週はコンピューターが無くて仕事が出来なかった

4.新しい同僚に、実は辞めようと思っている、と打ち明けられて考え直した

5.会社については知っていたが、そのオフィスで何をしているのか、自分の仕事がどう会社の業績につながっているのかがわからず、やりがいに欠けた

6.もっと高いお給料を他の会社から提示された

7.リモートワークで特定の人としか関われず、チームや組織としての広がりが無かった  

 

・会社の文化、雰囲気

1.面接で(自由闊達だと)言われた会社の雰囲気と違う

2.会社の中で怒鳴っている人がいて怖くなった

3.自分の立ち回り方やスピード感、仕事の仕方が会社のやり方と合わなかった  

 

・仕事の内容、スキル

1.面接で言われたスキルよりも、実際の仕事ではずっと高い(低い)スキルを要求された

2.前任者が辞めた後で引継ぎがなく、誰も助けてくれない

3.自分の権限が制限されていて、やりたいことができなかった  

 

・人材開発面

1.会社の中でどのように昇格していくチャンスがあるのかがわからなかった

2.研修制度とは名ばかりで、仕事に必要な外部の研修を受けたくても多くは承認されないことが分かった

3.人材、キャリア開発のためのプランや研修制度が無い  

 

・ロジスティック、その他

1.配属された部署の建物が思っていたのと違っていた

2.実際に通ってみたら通勤が大変だった

3.危ない地域にある、危ない地域を通らないと行けない

4.以前から通っている夜間やオンラインの大学で学びつつ、仕事が出来ると思っていたら違った

 

 

オンボーディングの大切

米国では、初日の悪い経験で4%の人が離職し、最初の1か月半で5人に一人の新入社員が辞めると言われています。求人倍率が上がる現在、この傾向はもっと厳しいものになっているかもしれません。しかしながら、新入社員を暖かく迎え、期待外れをなくす体制が整っていればある程度は食い止められる問題です。実際、新人教育に対して準備が整っている会社ほど3年以上勤続する確率が70%近くも上昇するという統計もあります。日系企業にとって人材獲得競争の相手は米国企業。彼らは、既にジョブホッピングが起こることを十分に理解していることから、せっかく雇った新人が辞めないように最低限のことはしようと、オンボーディングに大変気を使い、数々のオンボーディング戦略を持っています。下記がその一部です。  

 

1.会社の内容や文化を均一に伝えるためのオンボーディングのツールを持っている

2.社長自ら語るビデオを毎年作っている

3.1年以内に入社した人を、新人にオンボーディングバディとしてつけ、会社のことを教える

4.受け入れマネージャーと人事部が、新人を受け入れ、仕事を早く習ってもらうための3か月計画を立て、新人に伝え実行する

5.マネージャー全員に新人を暖かく迎えるための研修を行う

6.入社が決まった時点から、マネージャーやチームが歓迎のメールやテキストを送る、などなど…  

 

マッキンゼーやグーグルなどの一流企業でさえも「最初が肝心」とオンボーディングに大変力を入れています。日系企業もそれを見習い、また日本の本社が新人を迎えるときの大事業を思い出し、米国でもローカルの新人が長く勤めてくれるようにもっとオンボーディングに注力するべきだと思われます。  

 

しかし、それでも離職が多い場合には、Lauraが冒頭で言ったように、エグジットインタビューだけではなく、外部の専門家を使って過去に離職した人たちにインタビューを実施し、本当の理由を改善していくことが必要です。    

 

 

※この記事に関してご質問は、Waterview Consulting Group, Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。  

 

 


 

【執筆者】

 

 

Waterview Consulting Group, Inc.

CEO

今泉江利子

www.waterviewcoaching.com

www.waterviewelm.com

email: eriko@waterviewcoaching.com

914-433-1447  

 

【プロフィール】

米系証券会社での15年の経験後、起業、09年コーチング認証取得、座禅オタク。  

 

【事業内容】

企業研修、コーチング、eラーニングを提供。「駐学」ラーニングポータルサイトHORENSO。    

 


 

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No.4 在宅勤務特集/在宅勤務に関するQ&A

No.5 コロナウイルスに関するQ&A/WiFiの規定/より快適な在宅勤務のコツ

No.6 CDC雇用者向けページを確認しよう/After COVID-19の訴訟について

No.7 ポスト・コロナの職場環境/ビザ取得の状況/WEB面接のコツ

No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

No.10  コロナ禍で考える「評価制度の構築」/ Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いであるから

No.11 移民法、雇用調整助成金(ERC)最新情報

No.12 失業保険の不正受給が急増/評価制度Q&A

No.13 職場におけるコロナ関連訴訟/ オフィス対策/ 感染テスト

No.14  ジョブ型?メンバーシップ型?/自主隔離を終了させる新たなガイドライン

No.15  CA州無給休暇と収入保障/強い企業になる!ブラックスワン比較とは

No.16 ポストコロナの新入社員研修/最新移民法/リモート採用注意点/失業率の推移、学校再開Q&A

No.17 訴訟が多いワースト10/コーチングの活用目的

No.18 緊急有給シックリーブ法の改定/リモートでのコミュニケーション

No.19 各州の雇用に必要な給与額/従業員が感染!会社としての対策とは

No.20 2021年は2.6%昇給すべきか?!/採用もマーケティングと同じ

No.21 バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢/H1b申請新基準

No.22 企業が提供する祝日と割合/オンラインホリディパーティゲーム9選

No.23 医療費は上がり続けるのか?

No.24 2021年有給シックリーブ法/何はなくともブランディング

No.25 グラフで振り返る2020年/新世代のコミュニケーションCPaaSとは

No.26 ワクチン接種を強制しますか?/H-1Bビザ抽選プロセスの変更案について

No.27 大統領令と法律の違い/医療費控除を最大に/州政府の仕事を請け負うには

No.28 従業員ベネフィットのトレンド/COVID後のオフィスデザイントレンド

No.29  COVID-19救済法と人事関連情報/コミュニケーションは進化する/音声メディアを考えてみる

No.30  2021年ハンドブック更新の拠り所/まだ間に合う!節税のためのIRA/クラウドサービス利用の秘訣

No.31 大麻使用許可による職場規定とドラッグテストの影響/永遠に勝てる組織を作るには

No.32  あなたの給料はAIが決めてもよいか?/駐在員が絶対に知らないといけない個人税務知識

No.33  アメリカの失業保険制度と給付金/最近のアメリカ移民法事情/日本帰国のポイント  

 


 

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