【アメリカの人事部】2021年の有給シックリーブ法

 

   

 

     

 

 

2021年の有給シックリーブ法

 

新年おめでとうございます。光栄にも2021年最初の記事をこうして書かせていただいております。昨年はコロナに明けてコロナで終わった苦渋の年として記憶に深く刻まれてしまいましたが、年末から年始にかけてイギリスや南アフリカからのさらに感染力が強まったというコロナ変異種のニュースがまたたくまに世界中を駆け巡り、アメリカでせっかく始まったばかりのワクチン接種の朗報にも水を差すような状況となってしまいました。  

 

ワクチンが出されたにもかかわらず年初からコロナ収束どころではない状況下で、今回は昨年コロナ禍救済のために施行されました連邦法であります、家族第一コロナウイルス対応法(FFCRA: Families First Coronavirus Response Act)の今年の施行延長についての記事とさせていただきたいと存じます。連邦議会の党派分断による硬直化で法案審議が延び延びとなっておりました、総額$900Bという巨額のコロナ関連救済法案(Coronavirus Stimulus Bill)は、年末の12月27日に一時は拒否権を発動して渋っていたトランプ大統領のもとでようやくにしてサインがなされ、正式に2021年への陽の目を見ることができるに至りました。法案は主に2つあり、ひとつはCARES (Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security)Act、そしてもうひとつがFFCRAの延長で、今回はCARES Act の延長に比べてあまりニュースにもなっていないFFCRAについてアップデートをいたします。  

 

FFCRAには、2つのコロナ禍に関連する従業員への有給シックリーブ法が含まれていて、ひとつはEPSL(Emergency Paid Sick Leave)で、最長80時間までの有給シックリーブ、そしてもうひとつはEFML(Expanded Family Medical Leave)で、こちらは最長400時間までの家族の看護やお世話のための有給シックリーブとなっています。このどちらのシックリーブも昨年エンドでとりあえず期限を迎え、法令はいったん切れたのですが、今年2021年への延長が認められるのかどうかが気がかりとなっていたわけです。結論から申し上げますと、2021年3月31日まで延長がボランタリーベースでとりあえず、認められることになりました。  

 

このボランタリーベースでというところが今回ミソでありまして、どういうことかと申し上げますと、もはや法令で雇用主からの有給シックリーブの提供は今年2021年からは法的義務や強制ではなくなったということになりました。つまり昨年とは異なり、雇用主は従業員にこの有給シックリーブを与えても与えなくともどちらでもよいということに変わったという意味になります。そして今年の3月エンドまでは、ボランタリーで有給シックリーブを提供した雇用主には、IRSは昨年同様、給与税(ペイロールタックス)の税額控除を面倒見ましょうということをいってくれております。つまり、雇用主側としては、今迄は法的義務であったシックリーブ提供がオプショナルになったわけで、会社の経営状況とコロナの感染具合などを鑑みながら提供を続けるかどうかの選択ができるようになりました。  

 

そこで、細部のシックリーブ運用についてもう少しお話をいたしますと、例えば昨年コロナ感染によって、EPSLの80時間をすべて使い切ってしまった従業員が会社にいたとすると、その従業員には年が変わって2021年になったからといって、さらにプラスアルファで80時間のEPSLがもらえるということは残念ながらできないのです。連邦議会はどうもそこまで寛大ではなく、あくまでも昨年定めた有給シックリーブの総時間数の割り増しや拡大は認められていません。一方で、もし昨年まったくEPSLを使うことのなかった従業員の場合には今年3月エンドまで最大80時間までのEPSLを使う権利を維持しているということになります。  

 

法案では、FFCRAの2つの有給シックリーブを3月いっぱいまで継続する雇用主は全従業員に対して、その継続する旨を文書で通知することが要求されています。さらにEPSLならびにEFMLを今年は継続しないと決められた雇用主がいたとしたら、それはそれで継続しないことを全従業員に文書で通知されることを強くお奨めします。振り返れば、このFFCRAによる2つの有給シックリーブは昨年4月1日から施行がスタートしましたので、ちょうど1年間にわたる時限立法という位置付けで、まあ切りがよろしいかとも思われます。  

 

たまたまですが、ウェブサイト上でこの有給シックリーブ法の効用について調査したコーネル大学のニコラス・ジーバス準教授の記事を見つけたのですが、教授によると昨年施行の有給シックリーブ法によって、大学のあるニューヨーク州では本法施行後1日平均で417件のコロナ感染者減少につながったと学内誌で “COVID-19 Emergency Sick Leave Has Helped Flatten The Curve In The United States,” という報告がなされています。確かにニューヨーク州は当初コロナ感染の一大激震地であったわけですが、感染が徐々に抑えられていった背景にはこのような法律面での効用が確かにあったというのは理にかなっていることだといえます。  

 

ということで、最後私からのご提案といたしましては、続けられるのであれば、少なくともIRSがペイロールの税額控除をしてくれる今年3月31日までは何とかしてFFCRAにあるこの2つの有給シックリーブ法を継続していただければと思う次第でございます。もちろん、税額控除の期限が過ぎた後でも同様の有給シックリーブは会社の裁量で継続することができますので、税額控除の有無にかかわらず、体力のある日系企業様であれば3月いっぱいまでといわず今年のエンドまでお続けになっていただければ、従業員からも価値あるベネフィットを大変な状況下にあっても会社は提供し続けてくれたという感謝とリスペクトの気持ちをもたらしてくれるのではないでしょうか。ご一考いただけましたら有り難いです。    

 

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【執筆】

Pacific Dreams, Inc.

President & CEO

酒井健吉

Ken Sakai

8532 SW St Helens Dr. Wilsonville, OR 97070

www.pacificdreams.org

Email : kenfsakai@pacificdreams.org

Phone: 503-783-1390  

 

【酒井健吉氏プロフィール】

         

 

信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。  

 


 

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No.4 在宅勤務特集/在宅勤務に関するQ&A

No.5 コロナウイルスに関するQ&A/WiFiの規定/より快適な在宅勤務のコツ

No.6 CDC雇用者向けページを確認しよう/After COVID-19の訴訟について

No.7 ポスト・コロナの職場環境/ビザ取得の状況/WEB面接のコツ

No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

No.10  コロナ禍で考える「評価制度の構築」/ Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いであるから

No.11 移民法、雇用調整助成金(ERC)最新情報

No.12 失業保険の不正受給が急増/評価制度Q&A

No.13 職場におけるコロナ関連訴訟/ オフィス対策/ 感染テスト

No.14  ジョブ型?メンバーシップ型?/自主隔離を終了させる新たなガイドライン

No.15  CA州無給休暇と収入保障/強い企業になる!ブラックスワン比較とは

No.16 ポストコロナの新入社員研修/最新移民法/リモート採用注意点/失業率の推移、学校再開Q&A

No.17 訴訟が多いワースト10/コーチングの活用目的

No.18 緊急有給シックリーブ法の改定/リモートでのコミュニケーション

No.19 各州の雇用に必要な給与額/従業員が感染!会社としての対策とは

No.20 2021年は2.6%昇給すべきか?!/採用もマーケティングと同じ

No.21 バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢/H1b申請新基準

No.22 企業が提供する祝日と割合/オンラインホリディパーティゲーム9選

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