企業のSDGsへの取り組み例と個人ではじめるサステナライフ Part2

 

 

     

 

企業のSDGsへの取り組み例と個人ではじめるサステナライフ Part2

 

前回の記事「SDGsとは?企業にとって取り組むメリットは? Part1」ではSDGsへの理解を深めるため基本的なコンセプトや詳細な内容、企業にとってSDGsに取り組むメリットなどをご紹介しました。今回は企業のSDGsへの具体的な取り組み例や、個人で出来るSDGsへの取り組みを紹介させていただきます。

 

企業のSDGsへの取り組み方

企業がSDGsに取り組むと、パート1で詳しくご説明したように、新たな市場や事業の創出、企業のブランディングやイメージの向上、コスト削減やリソースの有効活用、そして投資家から投資を受けやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。

 

SDGsの内容は多岐に渡るので、ひとくちにSDGsに取り組むといっても、いろんな取り組み方が可能です。実際にそれぞれの企業がどのようにSDGsに取り組んでいるのかみていきましょう。

 

ロレアル

世界最大の化粧品メーカーである仏・ロレアルは2020年6月に、新たに始動するサステナビリティプログラム「L’Oréal for the Future」を発表しました。このプログラムは「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」を尊重し、その範囲内でビジネスを運営する体制への移行を目指しており、SDGsの目標年である2030年を達成目標としています。

 

企業の具体的な取り組みとしては、エネルギー効率を改善し、再生可能エネルギーの100%採用、1製品あたりの温室効果ガスの排出量を2016年との比較で50%まで削減させる、などがあげられています。またプラスチックが使用されているロレアル製品の全てのパッケージを、バイオベース、もしくはリサイクルに切り替えることもあげられおり、現在ロレアルでは紙製の化粧品容器の開発がすすめられています。

 

ロレアルは2020年5月に過去最大の1億5000万ユーロ(約180億円)を社会・環境課題への取り組みにあてることを発表しました。このうち5000万ユーロ(約60億円)は立場の弱い女性を支援するための慈善寄付基金として用いられ、1億ユーロ(約120億円)は環境課題に取り組むためのインパクト投資に用いられます。

 

アディダス

アディダスは、2030年までにプラスチックのごみをゼロにする、という大胆な目標を掲げており、2015年4月から海洋環境保護団体「Parley for the Oceans」と提携して、海洋廃棄物や違法に設置された漁網から回収し再利用した糸と繊維で作ったランニングシューズの開発を始めました。海のプラスチック廃棄物をリサイクルした素材を使ったシューズの製造は2019年には1100万足にのぼっています。

 

また2012年には、水を使わない染色方法を採用することで汚水の減量にも成功しました。店頭ではプラスチックバッグを排除し、商品を紙袋に入れるようにし、直営店にはトレーニングウエアやランニングシューズをリサイクルする回収箱が設置されています。

 

さらに本社を置くドイツをはじめ、世界に75カ所あるオフィスでは、ペットボトルなどのプラスチック製ボトルの使用を禁止して、スタッフの個人レベルの意識の持ち方にも注意を促しています。

 

イケア

家具メーカーのイケアは、「PEOPLE AND PLANET POSITIVE」を2020年までのサステナビリティ戦略として掲げ、SDGsの17項目をすべて網羅したアクションプランを用意し、具体的な数値目標を示しながら、ビジネス全体に変化を起こして人と地球にポジティブな影響を与えると力強く宣言しています。イケアはなかでも「Climate Change(気候変動)」「Sustainable Energy(再生可能エネルギーの促進)」「Equality(平等)」の3つに注力して取り組んでいます。

 

具体的な活動としてはサステナブルな生活を支える商品シリーズの開発、ハロゲンと電球型蛍光灯の販売の停止、リサイクル木材やFSC認証(森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益や、経済的にも持続可能な形で生産された木材に与えられる認証)をうけた木材の使用などがあげられます。

 

また、イケアは工場配送センター全てにソーラーパネルを取り付け、6ヶ国に14の風力発電所を設置して再生可能なエネルギーを促進しています。さらに女性管理職比率を50%にしたり、パートタイムで働く人を短時間正社員と呼び、時給幅を同じにするなどして社内で平等な人事制度を実施しています。

 

H&M

大手ファストファッション企業の大手であるH&Mでは、「Making fashion sustainable and sustainability fashionable」という「ファッションをサステナブルにし、サステナビリティをよりファッショナブルにする」というコンセプトに基づき、2030年までにすべての製品の素材をリサイクル、もしくはサステナブルに調達された素材にすることを目標に掲げており、すでに、実際に使用している素材の少なくとも57%がこれに当たります。

 

同社はサステイナブル・ファッションの象徴として「CONSCIOUS(コンシャス)」コレクションを展開しており、このコレクションでは全てのアイテムにオーガニック・コットンやリサイクル・ポリエステルといったサステナブルな素材が使用されています。

 

さらにH&Mは染色にもプロダクションオフィスから出たコーヒー豆のかすを原料にした天然の染料を使うなど、 環境への影響がより少ない染色方法を採用し、素材だけではなく包括的なアプローチでサステナビリティに向き合い、長く楽しめる特別なファッションアイテム作りに取り組んでいます。

 

スターバックス

コーヒー大手のスターバックスは2030年までに埋め立てごみの量や二酸化炭素の排出量を50%削減するほか、植物由来のメニューを増やし、環境再生型の農業への投資の実施する方針を掲げ、今後、数十年をかけて、地球から奪うよりも還元する量を増やす「リソース・ポジティブ」を実現していく方針です。そしてその実現のために5つの具体的な戦略を掲げています。

 

1.植物由来の食品の選択肢を増やし、より環境に配慮したメニューに移行していく。

2.使い捨てプラスチックから再利用できるプラスチックに変える。

3.サプライチェーンにおいて、革新的で再生型の農業や森林再生、森林保全、水の補充に投資していく。

4.店舗と事業に関連するコミュニティの両方において、食品廃棄物をなくし、再利用やリサイクルを進めるために、より良い廃棄物管理方法の構築に投資していく。

5.より環境に配慮した店舗、運営、製造、配達を開発するために改革を行う。

 

また原料については「エシカル調達」を掲げており、品質基準を設定しそれを満たした原料を調達すること、生産地域や生産者に対してフェアトレード(適正な条件での取引)を守ること、生産者の労働環境を守って生産性向上をサポートすることなどを重視しています。

 

これにより2015年には、スターバックスが買い付ける全てのコーヒー豆の99%が、フェアトレードやその他の認証プログラムの基準を満たし、エシカルに調達され、それ以降も継続されています。

 

BMW

ドイツの自動車メーカーBMWは、SDGsに先駆けて、すでに1990年代から「Efficient Dynamics」というコンセプトに基づき、排出ガスと燃料消費量を最小限に抑えつつ、駆け抜ける歓びを最大限に向上させるという戦略をとってきました。

 

環境への取り組みとして、再生可能エネルギーから電力購入を行ったり、工場で発生するメタンガスを回収・浄化・圧縮するプログラムを本格始動し、年間で約9万2000トンものCO2排出削減に成功しています。

 

また「リサイクルを前提とした設計」という方針の下、ライフサイクルが終わった部品を再利用できるようにするための研究開発に取り組んだり、工場から排出される760,000t以上の廃棄物の99%をリサイクルして再利用しています。

 

さらに電気自動車の開発・販売に積極的に取り組み、2017年の時点ですでに電気自動車を10万台以上販売し、2018年には1995年以降のヨーロッパにおける量販車の平均CO2排出量の42%以上の削減に成功したことを発表しています。BMWは今後2030年までに700万台以上の電気自動車を販売する計画です。

 

これらの取り組みの結果として、BMWはダウ・ジョーンズ・サステイナビリティ・インデックスで世界で最もサステイナブルな自動車メーカーに選定されています。

 

上記でご紹介させていただいた企業は海外の企業ですが、日本でも数多くの企業がSDGsに取り組んでいます。各企業の事例は下記外務省と経団連のウェブサイトを参考になさってください。

 

 
 
 
 

SDGsを小さなところから取り入れる

上記に紹介させていただいた企業は大企業ですが、企業の規模を問わず、ベンチャー企業や中小企業もSDGsに取り組むことでメリットを享受できます。大企業のように、事業をそのままSDGsに照らし合わせるのは難しいかもしれませんが、小さなことから取り組むことが可能です。

 

例えば、「リサイクルを促し、ゴミを減らす」、「女性社員の管理職の増加」、「安定した雇用の確保」、「社員の子育てや介護への支援や働き続けられる環境づくり」、など、SDGsの課題は社会に与えるインパクトだけなく、それぞれの企業体制にも大きく関連しているのです。

 

社内でSDGsの取り組みを浸透させるには、経営層が積極的に関与することが重要です。企業のトップが自らSDGsに取り組むことで、社内全体のモチベーションが向上されます。

 

また、ベンチャー企業や中小企業がSDGsに取り組む際は、できないことを目標とするのではなく、コツコツと積み上げられることを課題にし、一定の期間ごとに達成度を確認し、会社全体でSDGsへの取り組み続けていける環境づくりをすることも、成功させるための大切なポイントです。

 

SDGSについて個人で取り組んだりもっと学ぶには

企業だけではなく、個人でSDGsに取り組むことももちろん可能です。日々の生活に取り入れて地球にやさしいサステナライフをはじめましょう。すぐに思いつくだけでも寄付や募金、節電や節水、家庭でのフードロスをなくすなど、個人ができるSDGsの取り組みはたくさんありますが、ここでは最近注目されている「エシカル消費」についてご紹介します。

 

エシカル消費とは

エシカル(ethical)とは、「道徳的な、倫理的な」という意味の英語です。エシカル消費という言葉は、1989年にイギリスの専門誌「Ethical Consumer」で使われたことを契機に広く知られるようになり、環境や社会、地域や人にやさしい商品やサービスを選ぶ、思いやりのある買い物のしかたをあらわしています。

 

エシカル消費の方法は多様ですが、まずは、環境、人、社会、地域に良い影響を与える商品やサービスを購入することから始めてみましょう。たとえば商品を選ぶときにリサイクル素材を使用しているものや、省エネ効果が高いエコ商品を選んだり、生産者の支援につながるフェアトレードの商品を購入したり、社会貢献につながる寄付付きの商品を購入しましょう。

 

障がいのある人たちがつくった商品の購入は障がいのある人への支援と自立への後押しへつながります。地元の産品を購入すると地域活性化につながり、輸送にかかるエネルギーが削減されます。また、被災地の特産品を購入することで、経済復興を応援することもできます。

 

お菓子を買うときにプラスチックではなく、紙パッケージの商品を選ぶことも立派なエシカル消費です。プラスチックストローやカップの利用を避けて、マイボトルやタンブラーを持ち歩くのもとてもよいですね。買い物にはエコバッグを持参するのもおすすめです。

 

さらに個人で取り組むSDGsをもっと学びたい方は、国連が公開している誰でも簡単に実践できる、SDGsの目標達成に向けた取り組みをまとめたアクション・ガイドを読んでみましょう。

 

「持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(改訂版)」

(出典:国際連合広報センター公式サイト)

 

このアクション・ガイドは「レベル1:ソファに寝たままできること」、「レベル2:家にいてもできること」、「レベル3:家の外でできること」、「レベル4:職場でできること」と分かれていて、「ナマケモノにもできる」と書かれているだけあって、ビギナーも非常に取り組みやすいので大変おすすめです。

 

パート1、パート2に渡ってSDGsの基本的なコンセプトから企業や個人の具体的な取り組み例など幅広くご紹介させていただきましたが、いかがでしたでしょうか? SDGsへの取り組みは地球をよりよくし、後の世代へよい環境を残すためにとても重要です。ぜひ両方の記事を参考に、無理なく、しかも楽しみながらSDGsに取り組めるものを見つけてサステナブルな活動を始めてみてください。

 


 

【アメリカでのご転職・就職をお考えの方へ】

 

アメリカでのお仕事探し、就職・転職はクイックUSAにお任せください。

弊社のサービスにご登録がお済みでない方は、まずは英文履歴書のご登録をお願いいたします。 www.919usa.comより、オンライン登録をしていただくか、 quick@919usa.comまでE-mailにて英文履歴書を添付ファイルにてお送りください。 折り返しご連絡させていただきます。

 

※クイックUSAではニューヨークとロサンゼルスを拠点に全米で、留学生や社会人の求職者に対してアメリカでの就職・転職のお手伝いをしています。ご紹介しているお仕事は、金融、会計、IT、輸出入、人事、営業など多岐に渡ります。 雇用形態はお仕事をお探しの方のライフスタイルに合わせて、 フルタイムのお仕事とテンポラリーのポジションをご紹介。

 

クイックUSAでは経験豊富なリクルーターが、求職者の皆様一人ひとりのご希望などを伺いアメリカでのキャリアプランを一緒に考えさせていただいています。 アメリカでお仕事をお探しであれば、アメリカ求人多数のクイックUSAに是非ご登録ください!(無料)

 

【お問合せ】

QUICK USA, Inc.

[Los Angeles Office ](Headquarters)

1995 W.190th Street, Suite 200 Torrance, CA 90504

Email:quickla@919usa.com

Phone: 310-323-9190

 

[New York Office ]

8 West 38th Street, Suite 802, New York, NY 10018

Email:quick@919usa.com

Phone: 212-692-0850

 


 
クイックUSAでは、LinkedinLINE、InstagramFacebookTwitterでも情報発信をしています。是非、フォローお願いします。

 


【アメリカでのご採用をご検討中の企業様へ】

 

★採用でお困りなことはありませんか?

QUICK USA, Inc.では、アメリカでのご採用のお手伝いをしています。

フルタイム、パートタイム、派遣等、御社のご採用のお手伝いをさせていただきます。

お気軽にご連絡ください。

 


●クイックUSAでは人事・労務関連のご相談にも応じております。

 

クイックUSAではハンドブックの作成・見直し、ジョブディスクリプションの作成、セクハラ防止セミナーの開催など、人事労務関連のご相談も承っております。内容、お見積りなど何でもお気軽に下記までご相談ください。

 

QUICK USA, Inc.

[Los Angeles Office ](Headquarters)

1995 W.190th Street, Suite 200 Torrance, CA 90504

Email:quickla@919usa.com

Phone: 310-323-9190

 

[New York Office ]

8 West 38th Street, Suite 802, New York, NY 10018

Email:quick@919usa.com

Phone: 212-692-0850

 


●「アメリカの人事部」ニューレターのお申込み

 

クイックUSAは「アメリカの人事部」を発足し、在米日系企業様向けにニュースレターを配信させていただいております。アメリカでビジネスを遂行していくために、必ず知っておかなければならない法律、人事・労務、ビザなどの最新ニュースを定期的にお届けしております。「アメリカの人事部」のニュースレターの受信をご希望の企業様は、下記までお気軽にお申し付けください。

 

「アメリカの人事部」のニュースレターお申込みご希望の方はお手数ですが、会社名、ご担当者様氏名、役職、電話番号、会社のご住所、E-mailアドレスを明記の上、下記E-mailアドレスまでご連絡くださいますようお願いいたします。

E-mail:info-usjinjibu@919usa.com

 

     

「アメリカの人事部ニュースレター」のバックナンバーをご希望の方は、E-mail:info-usjinjibu@919usa.com まで、ご希望のナンバーをお気軽にお知らせください。

 

【バックナンバー】

No.1 日本の人事について、トランプ政権発足以降のビザ取得の状況

No.2 人事が知っておくべき高額医療/消費者保護法(CCPA)施行/感染症対策

No.3 コロナウィルス拡大で米国CDCも推奨「在宅勤務」について/シックリーブ

No.4 在宅勤務特集/在宅勤務に関するQ&A

No.5 コロナウイルスに関するQ&A/WiFiの規定/より快適な在宅勤務のコツ

No.6 CDC雇用者向けページを確認しよう/After COVID-19の訴訟について

No.7 ポスト・コロナの職場環境/ビザ取得の状況/WEB面接のコツ

No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

No.10  コロナ禍で考える「評価制度の構築」/ Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いであるから

No.11 移民法、雇用調整助成金(ERC)最新情報

No.12 失業保険の不正受給が急増/評価制度Q&A

No.13 職場におけるコロナ関連訴訟/ オフィス対策/ 感染テスト

No.14  ジョブ型?メンバーシップ型?/自主隔離を終了させる新たなガイドライン

No.15  CA州無給休暇と収入保障/強い企業になる!ブラックスワン比較とは

No.16 ポストコロナの新入社員研修/最新移民法/リモート採用注意点/失業率の推移、学校再開Q&A

No.17 訴訟が多いワースト10/コーチングの活用目的

No.18 緊急有給シックリーブ法の改定/リモートでのコミュニケーション

No.19 各州の雇用に必要な給与額/従業員が感染!会社としての対策とは

No.20 2021年は2.6%昇給すべきか?!/採用もマーケティングと同じ

No.21 バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢/H1b申請新基準

No.22 企業が提供する祝日と割合/オンラインホリディパーティゲーム9選