【アメリカの人事部】職場におけるコロナ感染テスト

     

     

 

職場におけるコロナ感染テスト

 

今回はCDC(The US Center for Disease Control and Prevention)から出されたばかりのコロナ感染テストの最新ガイドラインについて皆様にシェアさせていただきたいと存じます。  

 

弊社のクライアント企業様から寄せられる質問で多いのは、従業員を職場復帰させる(RTW: Return-to-Work)際に、果たしてコロナ感染テストを従業員に義務付けてもよいのかどうかというものです。  

 

この質問への答えに対する今回の新たなCDCのガイドラインをご紹介しながら、職場におけるテストの必要性について検証してみたいと思います。    

 

まずCDCの最新ガイドラインでは、テストを受けるかどうかについての5つの考えられうる以下のようなシナリオを準備してくれています。  

 

・仕事に来る前に従業員には何らかのコロナ感染の兆候があるかどうかの健康チェックを求め、検温してもらい、コロナの兆候が見られた場合には、医療機関に行ってもらい、そこでテストを受けてもらうようにと指示することができる。

 

・コロナに暴露した疑いのある従業員がいた場合には、自宅における自己隔離をしてもらい、同時に速やかにテストを受けてもらう。

 

・コロナに暴露した疑いのあることを知らない従業員で、なおかつ無症状であった場合、やはり市中感染を防止するために下記のような状況下であれば、テストを受けることが勧められる。

 

・職場でのソーシャルディスタンスをとること自体が難しい、つまり6フィート以内に15分以上おかれるという状況が発生している場合

 

・職場が医療診断や治療が遅れる可能性のある遠距離に位置している場合

 

・職場がエッセンシャルビジネスに数えられていて、事業を継続することが最優先課題とされているような場合

 

・従業員に対して集団集合住宅を提供しているような職場の場合

 

これらの状況下に置かれている職場では仕事に来る前に全従業員に対して最初のテストを受けさせます。そして次に一定の間隔を置いて定期的にテストを受けてもらうようにします。  

 

さらにある一定期間、自宅待機やテレワークをしていた従業員を職場に呼び戻す際や新規採用者が職場で就業開始する前に、やはりテストを受けてもらいます。  

 

定期的にテストを繰り返す場合にどの様に一定間隔を空けたらよいのかは、業種や地域によって当然違ってくるわけですが、たとえばニューヨーク州では州から出されている事業再開に関しての各フェーズごとのガイダンスの中で、ビューティサロンや理髪店で働くビューティシャンやヘアデザイナーの方々には2週間ごとでのテスト受診を義務付けています。  

 

・職場復帰する前にコロナに暴露し、コロナから回復した従業員がいた場合、会社は職場復帰させる基準として医療提供者からの診断書提出を求めることができる。

 

ただし、医療機関の患者数が切迫した地域においては診断書をタイムリーに出してもらうことは難しくなることが予想されます。そこでCDCでは、a) 症状を基にした b) 時間を基にした c) テスト結果を基にした それぞれの戦略の中からどれかを選択して適用させることを示唆しています。  

 

・現在コロナのホットスポットとなっているような地域における公共衛生監視プログラムの一部として、従業員にテストを受けさせることもCDCは認めている。(ただし、そのような地域におかれていない限りにおいては、公共衛生監視プログラムに参加するということは会社にとってはあまり現実的なことではない。)

 

テストを受け、その結果が出るのを待っている従業員は基本的に推定陽性ということで、自宅での自己隔離をしてもらいます。その際、ADA(Americans with Disabilities Act: アメリカ人障害者法)の要件に従い、会社は従業員の医療情報を機密扱いとしなければならないため、それら自宅隔離の措置を受けた従業員のプライバシー保護や差別防止に努めなければなりません。  

 

テストの結果が陽性と出た場合は、もちろんその従業員は自宅で隔離を続けてもらうことになります。そして濃厚接触者との追跡を会社として従業員の機密を保ちながら行わなければなりません。その濃厚接触者の定義ですが、CDCでは症状が現れた日、あるいは陽性のテスト結果が出た日の2日前に15分以上にわたって6フィートの間隔を切る距離で接触のあった人物を指すものとしています。  

 

CDCは連邦機関ですので、この最新ガイドラインは全米中で適用されることになりますが、各州やローカルの郡や市町村から出されている個々のガイダンスについても十分に目配りすることが要求されます。その上で従業員にテストを受けさせることが最適な判断であるかどうかの決定を下してほしいとしています。  

 

最後に本ガイドラインの中においてもCDCの見解として、従業員を職場復帰させる際にコロナウイルスの抗体テストを受けさせることについては推薦されていません。  

 

※この記事に関してのご質問は、Pacific Dreams, Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。

 


【執筆】

Pacific Dreams, Inc.

President & CEO

酒井健吉

Ken Sakai

8532 SW St Helens Dr. Wilsonville, OR 97070

www.pacificdreams.org

Email : kenfsakai@pacificdreams.org

Phone: 503-783-1390  

 

【酒井健吉氏プロフィール】

         

 

信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。  


 

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No.4 在宅勤務特集/在宅勤務に関するQ&A

No.5 コロナウイルスに関するQ&A/WiFiの規定/より快適な在宅勤務のコツ

No.6 CDC雇用者向けページを確認しよう/After COVID-19の訴訟について

No.7 ポスト・コロナの職場環境/ビザ取得の状況/WEB面接のコツ

No.8 出社への不安という理由/職場再開における適正な準備と手順

No.9    Return to Workのポリシーを作ろう/オフォス再開に関する一問一答

No.10  コロナ禍で考える「評価制度の構築」/ Don’t be silent ~アメリカの人事は差別との闘いであるから

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No.12 失業保険の不正受給が急増/評価制度Q&A

 

 


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