【アメリカ人事・労務関連】カリフォルニア州での適切な採用手順
QUICK USA,IncではアメリカのHR関連の情報や、ビザ等アメリカで働くために有益な最新情報を発信しています。今回は、Pacific Dreams, Inc.の酒井氏による「カリフォルニア州での適切な採用手順」についてです。
【アメリカ人事・労務関連】カリフォルニア州での適切な採用手順
今回は、カリフォルニア州における雇用主にとっての従業員の望ましい採用手順について整理してみたいと思います。なぜカリフォルニア州なのかといえば、この州には採用や雇用にかかわる多くの州独自の法律や判例などがあるからなのです。それはアメリカにある他の州には必ずしも見られない独自の州の法律や判例であり、カリフォルニア州にある雇用主あるいはカリフォルニア州で従業員を採用する他州にある企業はよりきめ細かな注意が採用段階で必要とされるからです。
まずカリフォルニア州雇用法のひとつであります、公正雇用住居法(FEHA: Fair Employment and Housing Act)では雇用上における多くの差別禁止事項が制定されています。その差別禁止事項の内訳を申し上げますと、人種、肌の色、宗教、信仰、年齢 (40歳以上)、出身国、妊娠出産とそれにまつわる病状、市民権、外国籍、性別、軍務経験、性的指向および性同一性障害、心身障害、婚姻、遺伝子試験情報、政治活動、 AIDS/HIV保有者、逮捕歴あるいは有罪判決の記録、給与履歴、病歴、DV犠牲者、ストーカー行為および性犯罪による犠牲者ということになっています。
これら差別禁止事項に該当するような記述は、募集要項をメディアやウェブサイトに載せる際にも書かれてあってはなりません。さらに採用面接で行う質問の中でもこれらに該当する質問をすることは許されていません。世界中からの移民で成り立ってきた多民族国家のアメリカでは外国籍のままで市民権を持たない人々が大勢暮らしていていて、仕事にも従事しているわけですが、採用面接に来られる応募者の方々に国籍の質問や移民ビザ所有の有無などに関する質問も面接ではしてはならないということに法律上では定められています。
もちろん、就労資格を持っていない人を雇用することは連邦移民法であります移民改革管理法(IRCA: Immigration Reform and Control Act)によって堅く禁止されていますので、決して雇用してはならないのですが、オファーを出した後に本人からエビデンスとしての証明物(パスポートや永住権、ドライバーズライセンスなど)とつき合わせて確認作業を取るI-9 という移民法上の書類で就労資格の有無を検証することで確認します。ですので、それまでは本人が本当にアメリカで正式に働くことのできる資格者であるかどうかを雇用主が実際に確認することはできないことになっています。
さらに日系企業さんを含めて多くの企業では採用時にバックグランドチェックの調査をアメリカでは行うことがほぼ常識となっております。これは過去7年前までに遡って何らかの犯罪歴などがなかったかどうかを確認する調査作業になります。この調査自体もカリフォルニア州では採用面接後にオファーレターを出して、本人がそのオファーレターにサインをした後で初めて調査ができるという法律になっています。ですから、まだ採用するかどうかを決めていない段階でこのバックグランドチェックをすることはカリフォルニア州では法律で禁止されています。
そもそもバックグランドチェックというのは狭義でいえば、州内および全米内での犯罪歴や逮捕歴(ただし有罪判決が出たものに限る)に通常限定されるものなのですが、ことカリフォルニア州においてはバックグランドチェックは単に犯罪歴および有罪判決のあった逮捕歴のみにとどまらず、レファレンスチェック(身元調査)に関しましてもバックグランドチェックのひとつとであるとみなされる法的解釈がすでに今まで出された判例等で示されているのです。
ですので、採用面接前や面接がすべて終わっていない段階で、レファレンスチェックを取ることはカリフォルニア州ではすべきではないということが申し上げられます。よく日系企業さんの中で伝え聞かれるところとしては、仮にAさんという日本人の方が求職活動をされている場合、Aさんからの履歴書を受け取った応募をかけているB社の採用担当のCさんがAさんが以前働いていたことのあるD社で働くゴルフ仲間のEさんに電話をかけて、Aさんの性格や仕事ぶりなどを前もって尋ねるという行為は、やはり採用が正式に決まっていない段階では決してすべきではないということになります。
もともと日系企業さんの中だけで転職を重ねているローカルの日本人求職者の方々がいらっしゃること自体、このアメリカでは決して珍しいこと、あるいは特別なことではありません。そのような方々の雇用における公正性を保障する上でも仮に非公式であったり、間接的であったりしても、採用オファーが出されてそのオファーに本人のサインが入るまでは、このような事前行為は採用する企業の採用担当者として厳に慎まなければならないということが申し上げられます。日系企業さんの立場からするとひょっとして採用上の盲点となりうる行為であるかもしれませんので、カリフォルニア州では特に注意を喚起する必要のあるコンプライアンス事項のひとつとして皆様の社内でもシェアしていただければ幸甚です。
【執筆・記事に関するお問合せ】
酒井健吉氏(Ken Sakai)
President & CEO
Pacific Dreams, Inc.
Email :kenfsakai@pacificdreams.org
www.pacificdreams.org
【酒井健吉氏プロフィール】
信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。
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