【アメリカの人事部】米国雇用情勢レポート(2月)

 

 

 

 

【アメリカの人事部】

 

雇用統計は総じて良好な内容

2026年の雇用統計は、総じてポジティブな内容で幕を開けた。失業率は12月(4.38%)及び1月(4.28%)と今サイクルで現段階のピークとなっている11月(4.54%)から2カ月連続で低下した。

失業率の低下は、労働参加率の低下ではなく、就業者数の増加・失業者の減少によって支えられる形となっている。また、平均失業期間の短縮(12月24.4週→1月23.9週)、不本意パートタイマーを含む広義の失業率(U6)の低下(12月8.4%→1月8.0%)などの指標も失業率の低下がポジティブな内容であることを支持している。

もう一つの注目点である非農業部門新規雇用者数も、1月は市場予想(6.6万人増)を大きく上回る13万人増となった。ただし、こちらについては読み方がやや難しい。

セクター別にみると、増加している部門は、外来診療などを中心とする教育・医療(13.7万人増)、事業所サービス(3万4000人増)、工場やデータセンター建設の配管工などを中心とする建設(3万3000人増)の3部門にほぼ限られており、その他のセクターは横ばいないしマイナスとなっている。

このうち、教育・医療部門については、これまで政策支援による保険加入者の増加や高齢化といった、景気変動要因とは関係しない要因によって安定的に増加してきた分野であり、基本的にはこの性格は足下でも変わりはない。

 それにも関わらず、今月の増加数は2025年平均の2倍強となっており、季節調整要因など統計処理上のテクニカルな要素が一部影響している面があるかもしれない。このため、今月の非農業部門新規雇用者数の強い伸びをトレンドとして捉えるのは慎重になった方が良いかもしれない。

もっとも、平均時給の伸び(前月比0.4%増)も強めの数字となっているほか、週当たり平均労働時間などの指標も改善しており、総じて見れば労働市場に安定化の兆しを感じさせる内容と言えそうだ。


先行きはなお予断を許さない状況が続く

今月の雇用統計が良好な数値となる一方で、労働市場の先行きはなお気が抜けない。労働省発表の12月の求人統計(JOLTS)では求人数の減少の継続が報告されている。Indeedの求人掲載数も引き続き低位な状態にあり、明確な改善傾向は表れていない。

他方で、レイオフのアナウンスも増加し始めている。チャレンジャーグレイ&クリスマス社が発表している1月の人員削減アナウンスは2009年以来の水準で、昨年と比較して118%増となった。

これまでは「求人も解雇も少ない状態」で均衡がとられていたところだが、個社ビジネスレベルでの先行き不透明感、コロナ禍後に抱えた過剰人員の削減、AI・自動化導入を通じた「ビジネス機会の損失を伴わない雇用削減の可能性」の発生といった要素が重なり、大企業を中心に雇用削減を志向する企業も少なくない。

米国経済はマクロ的には成長しているものの、「雇用増なき成長」とも言うべき状態にあり、過去の景気拡大サイクルで見られたような、成長が雇用増や賃金の上昇を促し→これが幅広い層における消費につながり→更なる雇用の増加をもたらすという好循環は実現しない可能性がある。


他方で製造業等ではスキル不足による人手不足が埋まらずミスマッチが顕在化

労働市場について総じて評価すれば、安定化の兆しも見られるものの、なお弱い状態にあると言えそうだ。求人/求職倍率が0.9とマクロ的には「人余り」の状態を示していることは、現在の労働市場全体の状況をよく表現している。

しかし、こうしたマクロ的な状況とは裏腹に、製造業など一部の業種では人手不足感が全く解消していない。

ジェトロが毎年行っている在米日系企業調査では、人材確保をめぐり直近2年間で状況が改善したかどうかについても各社に質問しているが、改善(10.7%)に対して、悪化(27.0%)が2倍以上を占めている。

調査対象は製造業が半分以上を占めていることから、製造業における人材確保の困難さがこうした結果に色濃く反映されているものと考えられるが、実はこの問題は日系・米系問わない。

全米製造業協会は、2030年までに製造業190万人分のポジションが埋まらない可能性を指摘しており、全米的な課題となっている。同協会がその大きな要因として指摘しているのが、求職者のスキル不足に起因する人材のミスマッチだ。

こうしたミスマッチの存在は、これまではグローバルサプライチェーンの活用(米国での製造工程の最小化)、ビザホルダーを含む移民労働力の活用など、いわば担い手を「外部化」するという手法を用いて解消されてきた側面がある。

しかしながら、この手法は米国の経済政策そのものの考え方が変化する中で、そもそも成り立たないか、あるいは維持に追加的なコストが求められる可能性が極めて高い。

今後、米国ビジネスを安定的に実施するためには、ミスマッチに正面から向き合い、労働力育成へのコミットメント・労働者の「囲い込み」が死活的に重要になってきているのかもしれない。


 

【執筆】

 

                     

JETRO NY

ニューヨーク事務所

調査担当ディレクター

加藤 翔一 (shoichi Kato)

 

「プロフィール」

東北大学公共政策大学院卒。2009年、内閣府入府。

内閣府では、マクロ経済分野や地方活性化分野を中心に政策立案に携わる。マクロ経済分野では、欧州政府債務危機時に欧州経済及び世界経済の動向分析を担当したほか、一億総活躍社会の実現に向けた中長期の経済・財政の在り方のプランニング等を担当。地方活性化分野では、岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」の立ち上げやフレームワーク設計などを担当。

2023年7月よりJETROニューヨーク事務所に出向。出国のマクロ経済、財政政策を中心に、調査・情報発信を行っている。


 

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