【アメリカの人事部】H-1B申請に関する大統領布告と抽選先行における新提案について
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【アメリカの人事部】
H-1B申請に関する大統領布告と抽選先行における新提案について
(※H-1Bビザは、高度専門職の外国人を雇用するための就労ビザです。対象はIT、エンジニアリング、会計、研究職など、学士号以上の専門知識を必要とする職種。毎年春(通常は3月)に抽選が行われ、一般枠65,000件と米国大学院修了者向け追加枠20,000件を合わせた計85,000件が上限です。抽選に選ばれた人だけが、雇用主を通じて正式に申請することができます。)
H-1B外国人労働者の受け入れが米国人の雇用機会や人材のトレーニング機会を奪い、また低コストでの雇用が米国全体の賃金水準を押し下げているとの指摘を背景に、H-1Bビザを取り巻く規制強化が進んでいます。こうした問題を理由に、二つの大きな変化が同時に進行しています。第一に、トランプ大統領がH-1B申請に対して10万ドルの追加手数料を課す大統領布告に署名したこと。第二に、国土安全保障省(DHS)が抽選方式を「賃金の高い外国人を優先する」仕組みに改める規則案を公表したことです。いずれも、H-1Bに依存するIT業界やF-1留学生に大きな影響を及ぼす可能性があり、今後の動向には一層の注意が必要です。
トランプ米大統領は H-1B ビザ申請に対して 10 万ドルの手数料を課す大統領布
2025年9月19日(金)、トランプ米大統領は H-1B ビザ申請に対して 10 万ドルの手数料を課す大統領布告「Restriction on Entry of Certain Nonimmigrant Workers」 に署名しました。この布告は 2025年9月21日(日)午前0時1分(米東部時間)に発効し、有効期間は1年間とされています。
発令当初は既存のH-1B保持者にも影響が及ぶのではないかと懸念されましたが、その後ホワイトハウス報道官、米国移民局(USCIS)、および米国税関・国境警備局(CBP)の補足説明で、今回の布告は新規申請にのみ適用されることが明らかになりました。現時点では発効日以前にH-1Bビザを申請した方・許可を得た方には影響はないと発表されています。ただし、詳細がまだ不確定な点も多いため、不要不急の海外渡航はできる限り控えることを推奨しております。 なお、 E ビザや L ビザなどの他の就労ビザへの直接的な影響はありません。
現時点で公表されている大統領布告の適用範囲
・新規申請時に課される一度限りの手数料である
・発効日(2025年9月21日)以前に提出され現在審査中の申請、すでに承認済みの申請、または有効な H-1B ビザを保有している方は対象外
・現在米国外にいるH-1B ビザ保持者が再入国する際、この手数料が課されることはない
・H-1B ビザ保持者は、通常どおり米国を出入国することができ、その権利はこの大統領布告の影響を受けない
・この手数料は次回のH-1B抽選(2026年3月)から初めて適用される (運用が変更になる可能性もあり)
ただし、トランプ政権下の移民政策は極めて流動的であり、今後、政府方針やその解釈が変更される可能性も否定できません。政府内の補足説明にも矛盾が見られるため、今後の動向を注視する必要があります。
米国国土安全保障省がH-1B抽選先行プロセスを変更する規則を提案
続いて2025年9月24日(水)、DHSはH-1B抽選プロセスの変更に関する規則案を発表しました。この規則は現在パブリックコメントを募集中で、最終規則として確定すれば施行後、来年度の抽選に適用される可能性があります。
提案の主な内容
- 登録時に給与額提を申告し、その水準に応じて抽選にかけられる回数が変動。例えば、労働局が提示する給与レベル1~4のうち、レベル4以上の場合は4回抽選の対象となる。
- 賃金が高い職務ほど当選可能性が高まる。
影響
- エントリーレベルや低賃金帯の採用を想定する企業にとっては不利。
- 一方、高賃金水準のポジションをスポンサーする企業には有利。
- 移民国籍法との整合性をめぐって訴訟リスクも存在
最後に
大統領布告による10万ドルの追加手数料、そしてDHSによる賃金水準を考慮した新抽選制度案はいずれも、米国の労働市場における外国人労働者受け入れの厳格化を象徴するものです。特にIT業界やF-1留学生にとってその影響は大きく、今後のH-1B戦略を再考せざるを得ない状況にあります。さらに、外国人労働者の米国雇用市場への影響はH-1Bに固有のものではなく、Lビザ等の他の就労ビザにおいても同様に当てはまるため、規制強化が波及するのではないかとの懸念も高まっています。したがって、米国移民政策の変化を今後も注意深く見守る必要があります。
【執筆】
冨田法律事務所 パートナー弁護士
比嘉 恵理子 (Eriko Higa)
11835 W. Olympic Blvd., Suite 355E, Los Angeles, CA 90064
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【プロフィール】
ミシガン大学ロースクール卒業。在学中は同ロースクールの国際法学雑誌でマネージング・エグゼクティブ・エディターを務め、米国連邦控訴裁判所にて法務経験を積む。日本、南米、米国で移民として育った経験と語学力を活かし、日本企業向けの移民法務に従事。 企業の就労ビザ、研修ビザ、出張ビザ、永住権申請やコンプライアンスのアドバイザリーから、実業家、アスリート、アーティストなど個人のビザ申請や永住権申請まで幅広い分野で法務支援を展開。米国移民政策の動向に関する記事を各種ウェブマガジンに定期的に寄稿し、日系企業向けセミナーでの講演活動も行っている。
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