【アメリカの人事部】米国雇用情勢レポート(9月)

 

 

 

【アメリカの人事部】米国雇用情勢レポート(9月)

 

<雇用統計は労働市場の減速の強まりを示す

雇用情勢を見る上で最も注目される、米労働省発表の雇用統計(8月)は、失業率の上昇や、市場予想(7万5,000人増) を大きく下回る非農業部門新規雇用者数など、労働市場の減速が一段と進んでいることを示すものとなった。失業率は、4.3%(前月から0.08ポイント上昇)となり、水準としては2021年10月以来の高さとなった。特に16歳から24歳の若年失業率は10.5%と4年ぶりに二桁台に達した。もっとも、今月は黒人男性を中心に労働参加率の上昇がみられており、これが大きく影響しているため、今後も同様のスピード感で失業率が上昇していくかどうかはわからない。それでも、平均失業期間は24.5(前月24.1週)と3カ月連続で長期化 、失業者全体の中で27週以上失業している者の割合が25.7%に達するなど、求人の減少に伴って就職の困難さが増している様子が伺え、労働市場の減速が一段と進んでいることがわかる。

こうした傾向は、非農業部門新規雇用者数(2万2,000人増)でも確認できる。6月の数値が2020年12月以来初の減少となる1万3000人減へと下方改定(改定前は1万4,000人増)されるなどした結果 、3カ月移動平均では、2万9,000人増と前月と並んで新型コロナ禍以降最低水準となった。失業率が上昇しないための一つの目安とされる10万人の水準を下回るのは4カ月連続で、4月の相互関税発表以降、労働市場が早いペースで減速していることを示唆している。今月増加したのは、教育・医療(4万6,000人増)を除いては、小売業(新学期商戦需要)と娯楽・接客業(夏季休暇シーズン)という季節性の需要によるもので、それ以外の業種ではむしろマイナスとなるところが目立った。

こうした労働需要の減速を受け、平均賃金の伸びもやや鈍化した。過去数年間とは異なり、物価上昇圧力が継続する中でも賃金上昇率の伸びはむしろ緩やかな低下傾向にあり、年末にかけて消費を下押しする圧力となってきそうだ。

 

<雇用統計以外の主な指標の動向>

雇用統計以外の主な指標でも、雇用が減速していることについてはほぼ一致している。全米サプライマネジメント協会(ISM)の報告では、雇用については製造業(43.8)・非製造業(46.5)問わず基準値(50)を下回る内容で、企業からは「2度の価格改定を行い、24%価格を引き上げたものの、関税分を相殺できるにすぎない。利益率は実際には低下する見込み。2度の人員削減によって米国の従業員を15%削減した。貿易と経済に安定性がないため、設備投資と採用は凍結されている。(電気機器)」といったように関税引き上げに伴うコスト増が雇用にダイレクトに影響しているとの声も複数聞かれている。
また、求人統計(JOLT:7月)ではレイオフが2カ月連続で増加し、チャレンジャーグレイ&クリスマス社が発表しているジョブカット・レポート(8月)でも人員削減発表数が2020年以降で最多となったと報告されるなど、これまでの「採用も解雇も少ない均衡状態」から徐々に悪化しつつあるようだ。もっとも、ミクロレベルでみると、すべての業種・ポジションで均等に労働市場が軟化している訳ではないようだ。8月の地区連銀報告では、全体としては労働市場が減速する一方で、移民労働力の減少によって建設業などでの影響が表れ始めているとする報告や、熟練労働者の不足は依然として続いているとする報告も散見される。これらの労働供給が不足しているポジションは、賃金やスキルの面で現在失業している者とは条件が折り合わない可能性も考えられる。今後、失業率の上昇や失業期間の長期化が進む中でも、一部では労働力不足の状態が続くといったちぐはぐな状況が生じるかもしれない。

 

<次回FOMCでの利下げは確実視されるも、その後はなお不明>

FRBのパウエル議長は、8月に行われたジャクソンホール講演において、労働市場の減速リスクに言及しつつ、金融政策を調整する余地を残す発言を行っていたところだ。その後に発表された雇用統計など一連の雇用関連統計が軒並み減速傾向を示していることもあり、市場では9月16日、17日に行われる次回FOMCにおいて利下げが実施されることが確実視されている。次回FOMCの注目点は、むしろ、目先の利下げの有無ではなく、FOMC参加者が年内にどの程度の利下げ幅を想定しているのか、それがどの程度バラつきがみられるのかといった点だろう。関税によるインフレへの影響がワンショットであることにつ
いてはFOMC内でも概ねのコンセンサスとなっているが、いつ・どの程度影響が出てくるのかについては依然として見解が分かれており、昨年と同様の規模で利下げが実施されるのかについてはなお予断を許さない状況だ。


 

 【執筆】

 

                     

JETRO NY

ニューヨーク事務所

調査担当ディレクター

加藤 翔一 (shoichi Kato)

 

「プロフィール」

東北大学公共政策大学院卒。2009年、内閣府入府。

内閣府では、マクロ経済分野や地方活性化分野を中心に政策立案に携わる。マクロ経済分野では、欧州政府債務危機時に欧州経済及び世界経済の動向分析を担当したほか、一億総活躍社会の実現に向けた中長期の経済・財政の在り方のプランニング等を担当。地方活性化分野では、岸田政権の「デジタル田園都市国家構想」の立ち上げやフレームワーク設計などを担当。

2023年7月よりJETROニューヨーク事務所に出向。出国のマクロ経済、財政政策を中心に、調査・情報発信を行っている。

 


 

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