【アメリカの人事部】買収後、組織リーダーは何を問われるか?

 
買収後、組織リーダーは何を問われるか

 

【アメリカの人事部】買収後、組織リーダーは何を問われるか?

 

トランジションの厳しさ

「変わることでしか成長できなかった」

Apple共同創業者・Steve Jobs氏の言葉です。人も組織は、成長と生き残りのために、常に変化適応を求められます。

 

私は、20年間、企業とリーダーのトランジションに向けてコーチをしてきました。トランジションとは、ある段階から次の段階に大きく移行する、下記のような過渡期を指します。

 

 ・異動に伴う新しい役割において、異なるやり方で、早期に結果を出す

 ・管掌領域の拡大により、未知の領域における未経験の課題に対処する

 ・革新を生み出すために、複数の既存組織を統合し、連携を創出する

 

しかし、このトランジションの成功確率は、決して高くはなく、変化に直面した人は、怖れを抱き、時に怒りを覚え、無力感・喪失感に陥ることもあります。

 

そして、トランジションの中でも、M&Aを伴うものは特に挑戦的です。

社名が変わり、見知らぬリーダーが現れ、愛着のあった文化が変わり始め、同僚が退職するなど、多くの社員にとっての職場の日常が、大きく変化する可能性があります。

 

トランジションが投げかける問い

そしてM&Aに伴うトランジションは、組織のリーダーに対しても、重い「問い」を投げかけます。

 

先日、かつてのクライアントからご退任の知らせのお電話を頂きました。

互いの近況を共有しあいながら、丁度、私が、買収した米国企業のCEOを務め始めたこと、M&Aに伴うトランジションに向き合っていることをお伝えし、彼がキャリアを通じて経験してきた5度の海外企業のM&Aの経験をお聞きしました。

 

 「誰と仕事をするか、そこを間違えてはいけない。

  経営の価値観の一致しない幹部とは、結局はうまくいかない」

 

 「早期に、自身の価値観とビジョンを強烈に打ち出すこと。

  結果、去る人が現れるが、ライトパーソンも必ず現れる」

 

体験に基づく言葉の背後には、どことなく、ご自身への反省のニュアンスも感じました。

そして、最後に私にこう尋ねられました。

 

 「ところで、お相手は、ライトパーソンなの?」

 

「確かにそうだな、決断のときは迫っているな」、そう我に返る瞬間でした。買収した企業のトップと、本当にこのままやり続けるべきか否か、考えていた時期でした。

彼から問われたことは、トランジションが投げかける問いであり、リーダーである自分が、避けてはならない問いだと、自覚を新たにしました。

 

トランジションの背後にある本当の恐れ

 

M&Aに伴うトランジションは、経験がものをいう仕事かもしれません。彼も5回の経験を積み重ねる中で、的確で迅速な判断ができるようになった、と語っていました。

逆に的確で迅速な判断に遅れた場合、M&Aに伴うトランジションにおいては、その後に致命的なビジネスの遅れや混乱をもたらす可能性が潜んでいます。北米で出会ったあるCEOのケースは、その一例でした。

 

  M&A後の経営チームが機能していない

  実は、幹部の数名に違和感があった。現地のCHROからも指摘があった

  本社側の意見は、そのまま行け、入れ替えろと二分されていた

 

こうした中、CEOは、誰を信じたらよいか確信が持てず、判断を先延ばしにして来たようでした。結果、あっという間に時間が経過し、結果的に経営チームが行き詰まりを見せ始めた末の相談でした。

 

「人を大切にする、人の可能性を信じたい、そういう自分の価値観が、確かに決断を遅らせました。そう分かっているのに、未だに躊躇してしまう・・・」

 

自分の「信じてきた基準」がチャレンジされ、自分の支えを失うような「怖れ」に向き合う。これがトランジションの本当の難しさではないでしょうか。

その中でも、かつての自分の考え方の枠組みをバージョンアップさせ、判断基準を次々と更新していく、それを一人で行う限界を超えるためにコーチが存在するのかもしれません。

 

究極的に問われていること

 

自分の「信じてきた基準」が問い直され、揺さぶりを受け、怖れが蔓延し始め、次第に「何のためのM&Aだったのか」と囁かれ始める・・・

ここまで見てきた、M&Aに伴うトランジションの難しさを考えれば、こうした展開は想像に難くないのではないでしょうか?

 

厳しい環境です。その場から立ち去ろうとする人が出るのは、無理ないことかもしれません。一方、中には、敢えて自ら立ち向かうことを選ぶ人もいます。そういう人々を創り上げていくリーダーもいます。

私は、M&Aに伴うトランジションこそ、CEOとその経営チームが、リーダーとしての力量を問われる時だと思います。彼らが不安の震源となるか、変革力の源泉となるか、その鍵を握るのではないでしょうか?

ここで、リーダーである自分に立ち返れば、問われていることは、「周囲は、自分と共に困難に立ち向かうことを選ぶのか?」、或いは、「周囲は、自分から立ち去ろうとするのか?」、つまり、究極的に私たちに向けられる問いは、目の前の人は、「自分をリーダーとして選び続けるのか?」ということかもしれません

 

さて、今回、M&Aに伴うトランジションが問いかける、この究極のテーマに対して、ウェビナーを企画しました。

コーチとして、その困難なM&Aに伴うトランジションの過程にご一緒した旭化成・松山様と対談を行います。松山様は、その時のご自身のリーダーシップ体験を振り返りながら、成功談・失敗談含め、等身大に語って頂くことにご賛同くださいました。

松山様との対談をインプットにしながら、皆様が、自分自身のリーダーシップについて再検討する、そのような場をご提供できればと考えております。

 

<ウェビナーのご案内>

 

 

開催概要

ウェビナー名:「日系企業のためのM&Aガイド」~ 買収前に知っておきたい雇用問題と法的対策、買収後に経営者が取り組むこと、起こす対話とチーム創り~

 

◆日時 :

【米国時間】2025年4月1日(火)15:00 ~16:30 (PT) / 17:00~18:30(CT)/18:00~19:30(ET)

【日本時間】2025年4月2日(水) 7:00 ~8:30 AM

 

◆場所 : Zoom (オンライン)

 

◆対象 : 在米日系企業の経営層、管理職
          米国現地法人を抱える日系企業の日本本社経営層、海外事業・法務・人事責任者

◆定員 : 200名 (先着順)

◆申込締切:3月27日(木)午後12時まで

◆費用 : 無料 

 

※この記事に関してのご質問は、Coach U Inc.まで、お気軽にお問い合わせください。 

 


 

  【執筆】

Kurimoto Wataru    

 

Coach U Inc.

栗本 渉 / Wataru Kurimoto
CEO, Coach U Inc. Executive Coach, COACH A Co. Ltd.

【プロフィール】

早稲田大学 法学部 卒業。ITコンサルティング会社にて最新技術を用いた難易度の高いエンジニアリング・プロジェクトを経験後、CEO補佐・総務・人材開発・法務など経営機能組織に従事。2004年、コーチ・エィに参画。20年以上に渡り、大規模組織のCEO、経営幹部海外拠点トップなど200名以上の組織リーダーにエグゼクティブ・コーチングを行っている。

   

 


 

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