【アメリカの人事部】AIとテクノロジーが変革する仕事の未来 Vol. 2

• 人事労務関連
• Feb 28, 2025

AIとテクノロジーが変革する仕事の未来

テクノロジーの進化は、私たちの生活だけでなく、仕事の在り方にも大きな変革をもたらしています。AI（人工知能）、ロボティクス、自動化、クラウドコンピューティング、ブロックチェーンなどの技術革新は、各業界における労働環境や雇用のあり方を根本から変えつつあります。

また、AIやロボットなどの進化によって将来的には現在、人間が行っている業務がなくなる可能性がある、という意見を聞いたことがある人も大勢いらっしゃるかと思います。

前回の記事ではAI、ロボティクス、自動化、クラウドコンピューティング、ブロックチェーンなどのテクノロジーがすでにどのようにビジネスで活用されているのか、またそれに伴う新しい職種について詳しくご紹介しました。

今回の記事では、テクノロジーの進化によって変化する働き方や今後ますます必要とされるスキルなどについて詳しくご紹介します。

テクノロジーと共に変化する働き方

(1) リモートワークとハイブリッドワークの普及

テクノロジーの進化と社会の変化に伴い、働き方にも大きな変化が起こっており、特に新型コロナウイルスの影響を受けて、リモートワークやハイブリッドワークが急速に普及しました。SlackやZoomなどのクラウドベースの業務ツールを活用することで、オフィスにいなくてもチームと円滑に連携できる環境が整い、企業は地理的な制約を超えて優秀な人材を採用できるようになりました。

これにより、従業員はライフスタイルに合わせたより柔軟な働き方を選択でき、通勤時間の削減によってワークライフバランスを向上させたり、フルタイムだけでなくパートタイムやフリーランスで働くなどといった多様な働き方も以前より実現しやすくなっています。

(2) ギグエコノミーの拡大

ギグエコノミーとは、短期契約やフリーランスでの働き方を指し、個人はUberやAirbnb、Fiverr、Upworkといったプラットフォームを活用することで企業に依存せずに収入を得ることが可能になりました。特に、プログラマー、デザイナー、ライターなどのクリエイティブ系の職種は、こうしたギグワークを通じて多様なクライアントと仕事ができる環境が以前より格段に整ってきています。

しかし、ギグワークの拡大に伴い、労働者の安定した収入や社会保障の欠如といった課題も浮上しています。今後は、政府や企業がギグワーカーの権利を保護する制度の整備を進めることが求められるでしょう。

（３）グローバル化と競争の激化

またテクノロジーの進化により、企業や個人が国境を越えて仕事をすることが容易になり、優秀な人材の確保をめぐる競争がますます激化しています。企業はリモートワークの普及によって国籍や居住地に関係なく優れた人材を採用する傾向が高まり、一方で、働く側も多様な国や企業との仕事の機会を得ることが可能となりキャリアの選択肢が広がっています。

こうした変化の中で、多文化共生社会の到来も進んでいます。異なるバックグラウンドや価値観を持つ人々が同じ職場で協力しながら働く機会が増えているため、多様性を受け入れ、共存することが企業や個人の競争力向上の鍵となっています。今後は、単なるスキルや経験だけでなく、異文化理解や柔軟なコミュニケーション能力も重要なスキルとなるでしょう。

 今後求められる重要なスキル

今後ますます求められる重要なスキルとして、主に「テクノロジースキル」「ビジネス・ソフトスキル」「持続可能性・倫理観」「創造性と適応力」の4つの分野が挙げられます。

まず、テクノロジースキルでは、プログラミングやデータ分析・機械学習といったスキルが重要です。加えて、クラウド技術やサイバーセキュリティの知識（ネットワーク防御、暗号化技術）、さらにはバイオテクノロジーや遺伝子解析の分野も注目されています。

次に、ビジネス・ソフトスキルとして、データやロジックを活用した問題解決力やリモートワーク環境でも円滑にチームワークを実現するためのコミュニケーションスキルが求められます。さらに、短い開発サイクルで改善を繰り返しながら、チームで効率的にプロジェクトを進行させるために、アジャイル手法やスクラムを理解したプロジェクトマネジメント能力も重要です。

さらに、持続可能性・倫理観に関するスキルも今後ますます重要になってくると考えられており、持続可能な開発目標であるSDGsや環境・社会・ガバナンスを重視するESG経営の知識を活用し、企業の社会的責任を考慮した戦略を立てる力が求められます。また、AI倫理やデータプライバシーに関する理解を深め、公平性や透明性を意識した技術活用が不可欠となるでしょう。

最後に、クリエイティビティと適応力も今後ますます欠かせないスキルとなるでしょう。ユーザー中心のプロダクト開発を行うためのデザイン思考や、変化の激しい市場環境に対応する適応力・柔軟性が今後の成功を左右する重要なスキルになると考えられています。

生涯学習の必要性の高まり

また、テクノロジーの進化スピードが加速しているため、一度スキルを習得しても、そのスキルが時代遅れになる可能性が高まっています。そのため、常に新しい知識を学び続ける必要が高まっています。

近年は企業も、従業員が学び続ける環境を提供することが競争力向上につながると認識しており、多くの企業が社内のリスキリング（学び直し）プログラムを充実させています。例えば、GoogleやAmazonなどの大手企業は、従業員のスキルアップ支援のために教育補助金制度を導入しています。

テクノロジーの進化は、仕事の未来を大きく変えつつあります。新しい職種や働き方の登場、デジタルスキルだけでなく持続可能性や倫理観に関する知識やそれらを活用するスキルの重要性の高まりなど、多くの変化が同時に進行しています。これからの時代を生き抜くためには、柔軟に適応し、学び続ける姿勢が重要です。

※アメリカ人事(R)は登録商標です。

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