【アメリカの人事部】バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢

【アメリカの人事部】バイデン新政権誕生で変わる今後の雇用情勢
全米50州すべてで大統領選での勝者が決定し、バイデン次期大統領の当確が確定的となりましたので、年明け以降での新政権誕生において今後どのような形で次期大統領は施策を繰り出していくのか、私なりのアメリカの雇用における予測を行ってみたいと思います。
ただし、現状下ではまだまだ読み取れる情報が非常に限定されていますので、おおかた私の独断的な予測だということで、読み流していただけましたら有り難いです。 ですが、おおよその予測の方向性としては決して見間違ったものではないと自負しておりますので、細かなところは今後時間が推移していく中で検証していただけたらと存じます。
私の予測は基本的にバイデン氏がオバマ政権時代の副大統領の要職にあったときの存在と今回の大統領選で公約として打ち出していた政策の中から拾ったものからの予測となります。 その予測のポイントとして以下の9のリストを大胆にも取り上げてみたいと思います。
・コロナ感染防止に対する職場の安全衛生
・オバマケア (バイデンケア) の拡大
・就労ビザ手続きの緩和 ・雇用における格差の是正
・最低賃金の上昇推進
・有給シックリーブ法の制定
・雇用均等法を通じた法の遵守
・労働組合化の促進
・多様性と衡平法の促進
私としては予測はこんなところになるのではないかなと考えているのですが、皆様としてはどう思われますでしょうか?紙面の関係でこれら9つのリストすべてを取り上げることは控えたいと存じますので、リスト中にある重要な数点の項目だけに絞って私の予測を申し上げさせていただきます。
リストの項目は特にプライオリティ順に並べたというわけでもないのですが、やはりまず筆頭に挙げられるのはコロナ感染対策ではないかというのは当然だといえましょう。 職場でコロナ感染を防ぐ上で、現在連邦の労働省の行政当局でありますOSHA (Occupational Safety and Health Administration) によるコロナ感染防止に関する統一した規制や基準が打ち出されることが期待されます。
現在は、それも各州レベルからの規制や基準が独自に出されているのが現状で、やはり連邦国家としてひとつの統一した法令なり基準といったものが制定されることが望まれるところではないでしょうか。 バイデン次期大統領はOSHAを通じてその施策を打ち出してくることが予測されます。
次にコロナ感染防止でやはりプライオリティがいやがおうでも高くならざるを得ないのが、医療保険制度です。トランプ政権は大統領就任後オバマケアの廃止を公約にしていたわけですが、廃止するどころかいまだにオバマケアが綿々とつながっており、この4年間トランプケアらしきものは一切姿を見せることはありませんでした。
次期大統領は、選挙戦演説の最中でもバイデンケアという新しい造語までをもちだして、オバマケアの存続と今以上の拡充とを公約に挙げております。 オアバケアを世に問った当時要職にあったご本人自身でもありますので、ここはいまひとつチャージアップさせた制度の実現を期待を持って見守っていてもよいのではないでしょうか。
ビザ関係については専門である移民法弁護士の先生からの見解に譲らせていただくということにいたしまして、もうひとつ雇用関係で大いに気になりますのが、連邦としての最低賃金の改定ではないかと思われます。ご存知のようにアメリカでは半分以上の州が州独自での最低賃金を設定しています。そしてほぼ毎年のようにこれらの州では最低賃金が上昇をし続けています。それに対して連邦が定める最低賃金の方は2009年7月に制定された$7.25/hour のままですでに10年以上も変わっていません。
現政権は、最低賃金改定については何の関心も示してまいりませんでしたので、このままの状態が続けば、連邦と州での最低賃金の格差はますます乖離する一方となります。 そしてアメリカ全体の中で見れば賃金の不公平感はいまやピークに達しようとしつつあり、その不公平感解消が次期政権にとってはもはや避けるこのできない喫緊の課題ではないかと私の眼からは映ります。
次期大統領はすでに選挙戦中の公約として2026年までに連邦の最低賃金を$15.00にまで上げることを言明しています。これは現行の最低賃金の2倍以上になる金額ですので、公約の実現までには相当な障壁も出て来るものかと推測されます。しかしながら2026年になれば、州の半分以上はすでに$15.00 の最低賃金を州レベルでは達成しているのではないかと予測することができます。連邦での最低賃金$15.00は、現段階では途方もない公約の設定に見えるかもしれませんが、ひょっとしたら実現可能なレンジであるのかもしれません。
コロナ感染を経てもアメリカの経済自体はいまだインフレ基調が続いているように感じられますので、コロナからの今後のアメリカ経済の復調次第にもよるところではありますが、最低賃金を含めてアメリカでの賃金上昇の潮流には基本的に大きなダウンサイズに陥ることはないのではないかと考ています。まあこの辺りのアメリカ経済の検証もエコノミストの先生方に詳しい予測はお譲りしておきたいと存じます。
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【執筆】
Pacific Dreams, Inc.
President & CEO
酒井謙吉
Ken Sakai
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www.pacificdreams.org
Email : kenfsakai@pacificdreams.org
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【酒井謙吉氏プロフィール】
信州大学卒業後、YMCAでの語学講師などを経て1987年にオレゴンに渡米。当時三菱金属(現:三菱マテリアル)が買収した米国半導体シリコン製造会社に勤務。1996年に退職後、パシフィック・ドリームズ社を立上げ、在米日系企業ならびに米国企業のクライアントを対象に人事管理コンサルティング、マーケティングと異文化コミュニケーションのノウハウを提供している。また全米各地で、毎月日系企業向けの人事セミナーを精力的に展開している。
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No.16 ポストコロナの新入社員研修/最新移民法/リモート採用注意点/失業率の推移、学校再開Q&A
No.17 訴訟が多いワースト10/コーチングの活用目的
No.18 緊急有給シックリーブ法の改定/リモートでのコミュニケーション
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