アメリカで働く人にインタビュー!第22回【象印アメリカ 松本アンディ―さん】

アメリカでは、日本からの駐在員として勤務している人やアメリカ現地で採用された人など、数多くの日本人が活躍しています。このコーナーでは、アメリカで働く方々に“ハタラク”楽しさや難しさなどをお伺いしています。今回はロサンゼルスで、象印アメリカのアカウント・エグゼクティブとして働く松本さんにお話を伺いました。    

 
 

ロサンゼルスで働く、アカウント・エグゼクティブ 松本アンディ―さん  

   
 
松本アンディーさん(Andy Matsumotoさん)

   

 

人生の中で、仕事が占める割合は大きい。 だから仕事は楽しく。人生も仕事も楽しんだ者勝ちです。

 


 

象印アメリカの事業内容を教えてください。  

 

弊社は、大阪に本社を置く象印マホービン株式会社の販売会社(現・連結子会社)として、1987年に、カリフォルニア州のシティ・オブ・ベルに設立されました。アメリカでは販売のみを行っており、主力商品には、炊飯器や電気ポット、パン焼き器などがあります。アジア系市場を中心に、炊飯器や電気ポットが好調な売り上げを見せる中、パン焼き器は、1989年の「The Home Bakery Breadmaker」の販売を機に業界の注目を集め、2018年度の北米のパン焼き器市場では、金額シェア第1位、27%を占めています。  

 

製品によって変わりますが、電気ポットや圧力IH炊飯器といった高性能製品は、主に日本で生産されています。ほかにも、業務用のコーヒー保温器やステンレスマグ、そしてここ5~6年は、健康志向も手伝って「Mr. Bento」「Ms. Bento」といったランチジャー商品がヒットしています。

 

 

 

(時計回り)
圧力IH炊飯器「Induction Heating Pressure Rice Cooker & Warmer NP-NVC10/18」
電子ポット「Micom Water Boiler & Warmer CD-WHC40」
パン焼き器「Home Bakery Virtuoso® Plus Breadmaker BB-PDC20」
ステンレスマグ「Stainless Mug Ichimatsu Collection SM-TAE48SA」
ランチジャー「Classic Stainless Lunch Jar SL-XE20」

 

 

松本さんの業務について教えてください。  

 

象印アメリカは、大きく分けて、メインストリーム市場の開拓、業務用コーヒー製品のマーケティングと販売、そしてアジア系市場の開拓を行う3つの事業部に分かれています。私は、アジア系市場開拓部門の営業担当として、1996年に入社し、営業戦略の立案から、法人/個人顧客管理、新規開拓まで、さまざまな業務を行っています。カリフォルニア州内はもちろん、テキサス、コロラド、イリノイ、オレゴンなど、全米にクライアントがいるので、月に1回は州外出張がありますね。

 

 

   

22年前に象印アメリカに入社。
出張で飛び回ることも多く、体力維持のためジム通いを欠かさないとか。

 

 

日本製の炊飯器はアジア系に非常に人気があるそうですね。

 

お米を毎日食べるアジア系にとっては、炊飯器は必需品。近年では、一家に1台どころか、3合炊きと一升炊きといった容量別の炊飯器や、IH炊飯器など、2台以上持っている方も多いんですよ。また、お米といっても、種類は豊富です。象印アメリカの炊飯器には、ジャスミン米や活性玄米(GABA Brown)など、多彩な炊飯メニューが搭載されている機種もあり、お米の種類に合った方法でおいしく炊けるのが特徴です。  

 

そして、なんといっても象印製品の強みは、日本品質の製品を提供していること。特に中華系やベトナム系の方は“Made in Japan”を好まれる方が圧倒的に多いですね。日本では、さまざまな機能を搭載した高性能製品が人気がありますが、アメリカでは単機能でシンプルな製品が大人気。例えば、炊飯器なら炊飯と保温しか機能がついていないような商品が人気。電気ポットも、デザインはスクエアよりもサークル、カラーは黒よりも白で、花柄が付いた商品の売り上げ数が多いんです。

 

 

   

象印のスローガンは「ワンブランド・ワンスタンダード」。
日本品質の製品を世界中で提供しています。

 

 

営業職を選んだ理由は何ですか?  

 

とにかく人が好き!コミュニケーションが好き!これに尽きます(笑)。営業職は、商品を売るのが仕事ですが、それは同時に“自分を売る”ということ。クライアントにとって、数多ある商品から選ぶ決め手になるのは、会社のブランド力や信用、品質はもちろんですが、売り手の人間力も大きい。信頼関係を構築し「この人から買いたいな」と思ってもらうこと。営業は、その積み重ねです。新規顧客との商談でも、相手との距離を縮めていくには、知識を蓄えておかなくてはなりません。付け焼刃は相手にすぐ見透かされてしまいます。また、共通言語である英語での会話力は当然のこと、プレゼン力、問題解決のための提案、アフターケアなどが求められるほか、アジア圏の文化や常識、言語にもある程度通じている必要があります。    

 

 

これまでのキャリアについて教えてください。  

 

一貫して営業畑ですね。1987年に留学で渡米したのですが、運よく、第1回永住権抽選プログラムに当選!といっても500通も応募はがきを出しました(笑)。永住権を取得したので、卒業後はアメリカに留まり、ロサンゼルスの某大手日系食品会社で営業職に就きました。学生時代は旅行代理店のオペレーションを経験したこともあったのですが、営業を始めてみるとやっぱり楽しい。考えてみると、昔から目立ちたがりで、学級委員を務めたり、人が喜んでくれることを提案したりすることが好きでしたね。22年前に、ゴルフ仲間だった当時の象印アメリカ副社長に誘われたのがきっかけで入社したんです。

 

 

営業職としてのやりがい、また難しさは何ですか?  

 

どちらにも言えるのですが“売り上げの目標があること”。定めた目標を達成するのは、喜びであり、同時に難しいチャレンジでもあるんです。うれしいのは、営業先で「我が家のキッチンの家電は、すべて象印です」と言われること。生まれたときから家にあったとか、故障がないので親子2代ときには3代で使っているなどと聞くと、とても誇らしいし営業冥利に尽きます。  

 

大変だったのは、15年ほど前、新規の電気屋に商品を売った翌日に、店が倒産し夜逃げされたこと。営業は売るだけではなく代金を回収するまでが仕事ですから、このときは参りました。うちの会社だけじゃなく、ほかのメーカーも同じ目に遭い、店舗も商品もまだそこにあるのに、納品しているから持ち出せない。結局、代金回収不能で損失を出したのもつらかったのですが、何より裏切られたという感が強く、一時は人間不信になりました。当時は、多民族国家であるアメリカに対する理解が浅く、とても未熟だったと思います。日本でならこんな事は起きないだろうと、どこか自分の定規を当てはめようとしていたのかもしれません。いろいろと悩みましたが、会社に損失を与えた分、売り上げを上げようと心に決め、がむしゃらに頑張りました。その後も、会社は私を信用して、ある程度のことは任せてくれたことで、その期待に応えようと思ったことも大きかったですね。失敗してくよくよするより、打開策を考え、必要であれば軌道修正し、今よりももっと良いやり方を見つければいい。この一件で、精神的にも随分成長したような気がします。

 

 

   

家電エキスポでの様子。

 

 

ビジネスにおける日本とアメリカの違いは何でしょうか?  

 

私は日本での就労経験がありませんが、日系企業で働いてきたので、日本とアメリカのビジネスの違いを感じることが多々あります。最たる違いは、アメリカでは、日本的な常識は一切通用しないということ。例え社員でも、アメリカ人の場合、“暗黙の了解”は通じないので、はっきり細かいところまで伝える必要がありますね。また、アメリカでは小さい頃から、人の前でスピーチをしたり、授業でも議論や討論をしているので、交渉力に長けています。日本人にとっては一番弱いところなので、グローバルに活躍したいのなら、自分の考えを持ち、意見をきちんと伝えられるようにした方が良いと思いますね。    

 

 

日々どのようなことを心がけて仕事をしていますか?

人生の中で、もっとも長く時間を費やすのが仕事ですから、楽しく働くのが一番です。基本はやっぱり笑顔。アンディーと言えば笑顔。仕事でもプライベートでも、いつも笑ってるねって言われます(笑)。言葉は“言霊”なので愚痴や不平は禁物です。だから、日頃から、人も自分もうれしくなる、高揚する、明るくなる、勇気が出るような言葉を使うように努めています。    

 

 

趣味や特技などはお持ちですか?それは仕事にどんな影響を与えていますか?  

 

特技は将棋で4段。日本将棋連盟の海外指導員の資格を持っています。道場を開くこともできるのですが、現在は、ボランティアとして日本語補習校などで教えています。将棋には先読みの力が必要で、そのためには相手を観察し、戦術を立てることが不可欠。ビジネスにも同様のことが言えて、相手をよく知って作戦を立てた方が上手くいく。どんな状況下でも、冷静に判断できるのも強みで、仕事においても私の原動力になっていると思います。これからも、将棋を通して、アメリカで日本の文化を広めるお手伝いができればよいなと考えています。    

 

 

多忙なスケジュールの中、ボランティアとして週末に日本語補習校で将棋を教えている松本さん。

 

 

今後、市場はどう変わっていくと思いますか?  

 

今後は、大型家電業界でも、Eコマース市場が拡大すると予想されています。実際、弊社でも、すでにEコマースの売り上げが実店舗よりも伸びてきているんです。Eコマースの強みは、商品の種類やサイズを豊富に取り揃えていること。店舗ではそうもいきません。Eコマースが主流になっても営業力は必要です。ただし営業方法やプレゼンの仕方などは変わってくるでしょう。時代を先読みし、クライアントが本当に望んでいる商品やサービスを提供できるように努めていきたいですね。    

 

 

今後の抱負や夢などをお聞かせください。

 

個人的には、アメリカには定年がないので、周囲との調和を大切にして楽しく仕事をしたい。70歳ぐらいまでは働いているかな。会社を辞めてからも人生を楽しく生きるためには、できるだけ早いうちから、好きなことを見つけることが大事。それもたくさんあるといいですよね。  

 

近年、アメリカに研修に来た日本の大学生にスピーチをする機会をいただいているのですが、学生が口を揃えて言うのは「日本の大人は人生を楽しんでるようにみえない」。電車の中でも飲み屋でも、みんな一様に疲れている、だから自分も将来に希望が持てないと言うんです。いやいや、世の中には人生を楽しんでいる大人はたくさんいるよと返すのですが、彼らの身近にそんな大人がいないので不安になるんでしょう。私からアドバイスをするとしたら、まずは、得意分野を見つけて、アイデンティティーを確立するということかな。もし得意分野が見つからないなら、まずは今自分が置かれている場所で小さくでもいいから輝いてみる。つまり楽しいことを見つけるってことです。自分の人生の主人公は自分だけなんだから、他人にどう思われてもいいんですよ。小さな種火はいずれ大きな炎となって、明るく将来の道を照らすはず。人生も仕事も楽しんだ者勝ち。それを忘れないで欲しいです。    

 

 

「象印は1918年に創業した100年企業です。10年ももたない会社がほとんどですから、
世界的に見ても100年以上存続する会社ってスゴイこと。
その100年企業で働けるということを心から誇りに思っています」。

 

     


 

【取材協力・お問合せ】

松本アンディーさん(Andy Matsumoto)

Zojirushi America Corporation

19310 Pacific Gateway Dr.  #101 Torrance, CA 90502

www.zojirushi.com  

 


 

【取材・文】

ライター 砂岡泉(Izumi Sunaoka)  

 


 

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